車載電装システム市場、2030年には42兆円台へ:富士キメラ総研が世界市場を調査
富士キメラ総研は、車載電装システムの世界市場を調査。2020年見込みの約19兆円に対し、2030年には42兆円台の市場規模に達すると予測した。
HV/PHV/EV/FCV系の需要が大きく拡大
富士キメラ総研は2021年4月、車載電装システムの世界市場を調査し、その結果を発表した。2020年見込みの約19兆円に対し、2030年には42兆円台の市場規模に達すると予測した。今後の注目市場として、「ADAS」や「自動運転システム」「ドライバーモニタリングシステム」を挙げた。
今回の市場調査は、パワートレイン系やHV/PHV/EV/FCV系、走行安全系、ボディー系および、情報系の車載電装システムを対象とし、合計22品目について国・地域別に調査。2030年までの市場予測を行った。また、システムを構成するデバイスとコンポーネント20品目の市場規模についても同時に分析した。調査期間は2020年10〜12月。
車載電装システムの世界市場は、新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年は前年比15.4%減となる見込みである。2021年には需要も回復し2022年以降は順調に市場拡大すると予想した。電気自動車の構成比が高まることや、自動運転システムを搭載した車両の拡大などが需要をけん引する。この結果、2030年は42兆5545億円規模に拡大すると予測した。
用途別にみると、HV/PHV/EV/FCV系の伸びが大きい。2030年には15兆7955億円規模に拡大する。世界的に取り組みを強化している環境規制対策により、電動自動車の比率が急速に高まる見通しである。走行安全系は、自動運転システムの搭載率が向上し、2025年以降に需要が大きく伸びると予測した。
車載電装システムを構成するデバイスとコンポーネント20品目の市場規模は、2020年見込みの9兆5870億円に対し、2030年は33兆3978億円と予測した。この中には車載カメラやLiDARなどの「センサーモジュール/アクチュエーターモジュール」、タッチパネルやハプティックデバイスなどの「入出力系デバイス」、インバーターモジュールや二次電池などの「HV/PHV/EV/FCV関連デバイス」が含まれる。
特に2021年以降、市場の拡大を予想しているのはHV/PHV/EV/FCV関連デバイスである。センサーモジュール/アクチュエーターモジュールなどにも期待する。自動運転車両の増加や電動化の進展などがその背景にある。
車載電装システムの中で同社は、今後の注目市場として3つのシステムを挙げた。システム制御用のECUやセンシングデバイスを対象とした「ADAS」や、LiDARをはじめとするセンサーやHDマップ(高精度3次元地図)などによる「自動運転システム」、近赤外線カメラや生体センサーなどを用いた「ドライバーモニタリングシステム」である。
これらは安全走行や自動運転を支えるシステムである。予測によれば、ADAS市場は2020年見込みの1兆179億円に対し、2030年は2兆3951億円と予測した。自動運転システムは同様に。20億円の見込みに対し、1兆4881億円と急拡大する。ドライバーモニタリングシステムは、同じく81億円の見込みに対し2785億円の市場規模を予測した。
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