「MIPI A-PHY」準拠のチップセット、Valensがサンプル出荷:車載向けの高速インタフェース(2/2 ページ)
コネクティビティチップを手掛けるイスラエルのファブレス半導体メーカーValens Semiconductor(以下、Valens)は2022年5月17日、車載向けの高速インタフェース規格である「MIPI A-PHY」に準拠したチップセット(シリアライザおよびデシリアライザ)「VA7000」シリーズのエンジニアリングサンプル出荷を開始した。同社はそれに併せて日本のメディア向けに記者説明会を開催した。
オーディオ・ビデオ分野で実績のあるValens
Valensは2006年に設立し、300人の従業員を抱える。これまでに、累計で3000万個のチップを販売していて、特にオーディオ・ビデオ分野をけん引してきたとBen-Zvi氏は述べる。
自動車市場にも積極的に進出していて、Continental、HARMAN International、Robert Bosch、molexといったティア1サプライヤーと提携している。採用例としてBen-Zvi氏は、トレーラーを挙げた。トレーラーのリアカメラの映像を、運転席のモニターへと伝送するに当たり、ノイズの多い過酷な環境下で、データを最大40m高速伝送できる技術を提供した。
Ben-Zvi氏は、「自動車向けでは、伝送距離が短くてもノイズが多いなど、オーディオ・ビデオとは異なる課題がある。われわれのソリューションはそうした課題に対応できるものだ」と語る。Valensのチップセットでは、チップ内部に搭載した強力なDSPにより、パケットごとにケーブルによるひずみなどを計算、解析し、それを自動的に補正する。これによりノイズを低減している。
Ben-Zvi氏は、「最先端のADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術において、どれだけ高性能なカメラやコンピュータを採用しても、データがうまく伝送されなければ、赤信号や歩行者を見落としてしまう可能性がある」と述べ、自動車におけるデータ伝送の重要性を強調した。
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