Lockheed MartinがIntelやNVIDIAと協業へ:防衛システムの統合を目指す(2/2 ページ)
米国の航空宇宙大手Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)が、防衛システムへの安全な接続を実現する計画「21世紀コンセプト」の一環として、IntelとNVIDIAの他、大手技術メーカー8社との協業を発表した。
各種防衛システムの連携
同氏は一例として、パトリオットミサイルを取り上げ、「現在問題の一つとして取り上げられているのが、もし敵側が、パトリオット地対空ミサイル砲台で高性能な低空巡航ミサイルを発射した場合に、パトリオットレーダーが、飛来してくる巡航ミサイルを、直ちに迎撃できるようなタイミングでは検知できない可能性があるという点だ」と説明する。
「このシステムと、F-35とを連携させることができれば、F-35はセンサーを搭載して飛行している上に、ネットワーク接続が可能なため、F-35が飛行中に巡航ミサイルを発見して、パトリオット砲台向けに照準ソリューションを提供することにより、砲台が迎撃ミサイルを発射して巡航ミサイルを防御することが可能になる」(Taiclet氏)
さらに同氏は、「これは、F-35とパトリオットミサイルをネットワーク接続するかどうかという問題だ。どちらも米国製の兵器である。また、ドイツのパトリオット砲台を、米国のF-35と接続することも可能だ」と付け加えた。
「実現すれば、NATO(北大西洋条約機構)の抑止力を劇的に高められるようになる。21世紀コンセプトの目的は、衛星や潜水艦、船舶、戦車、航空機などのさまざまなプラットフォームを接続し、宇宙や空中、海上、海面下、陸地などのあらゆる領域を超えて連携させることにある」(Taiclet氏)
このような統合型防衛システムが特に重要視されるのは、中国が世界に先駆けて開発した、極超音速ミサイルを使用する場合だ。この極超音速ミサイルは、秒速1.6〜8kmでサブオービタル軌道を飛行する。
極超音速防御の場合、極超音速ミサイルが発射された初期の段階で、ミサイル飛行を早い段階から追跡するための衛星センシング技術が必要とされる。
Taiclet氏は、「ミサイルの高速化が進んでいることや、既存の防衛能力などを考慮すると、21世紀のデジタル技術を利用して、正確な伝達を実現する必要があると言える。ミサイルの飛行能力を計算して予測するためには、AIが必要だ。また、例えば、指令室や射撃統制コンピュータが、追跡ソリューションを作成するために必要な情報を得られるようにするためには、衛星から十分な量のデータを送信することが可能な、5Gレベルの超高速ネットワーク接続が必要である。これにより、THAAD(終末高高度地域防衛ミサイル)砲台やパトリオットミサイル砲台と接続して、実際に命中させることが可能だ」と述べている。
半導体供給の確保
またTaiclet氏は、米国製半導体チップの供給を確保することの必要性についても強調している。
「米国は、国内インフラへの投資をさらに拡大することにより、国内供給の中でも特に、マイクロプロセッサを確保する必要がある。当社の製造ラインは現在稼働可能だが、今後、国内で必要とされる生産能力はさらに増加していくだろう。将来に向けて、マイクロプロセッサの供給を確保していかなければならない」(Taiclet氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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