2021年の世界半導体売上高、Samsungが3年ぶり首位:日欧はトップ10圏外に
米国の調査会社であるGartnerが発表した2021年の半導体ベンダートップ10で、Samsung Electronics(以下、Samsung)が3年ぶりに競合企業である米国のIntelを抜いて首位に輝いた。欧州企業は、前回に引き続きランキング圏外だった。
Samsungが首位、HiSiliconは売上高が急減
米国の調査会社であるGartnerが発表した2021年の半導体ベンダートップ10で、Samsung Electronics(以下、Samsung)が3年ぶりに競合企業である米国のIntelを抜いて首位に輝いた。欧州企業は、前回に引き続きランキング圏外だった。
Samsungの売上高は前年比28%増となる732億米ドルで、Intelの売上高は同0.3%減の725億米ドルだった。2021年の市場シェアはSamsungが12.3%、Intelが12.2%で、両社の差は1%に満たない。
2021年 順位 |
2020年 順位 |
企業名 | 2021年 売上高 |
2021年 市場シェア |
2020年 売上高 |
成長率 (2020年比) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | Samsung Electronics | 73,197 | 12.3% | 57,181 | 28% |
2 | 1 | Intel | 72,536 | 12.2% | 72,759 | −0.3% |
3 | 3 | SK hynix | 36,352 | 6.1% | 25,854 | 40.6% |
4 | 4 | Micron Technology | 28,624 | 4.8% | 21,780 | 31.4% |
5 | 5 | Qualcomm | 27,093 | 4.6% | 17,664 | 53.4% |
6 | 6 | Broadcom | 18,793 | 3.2% | 15,754 | 19.3% |
7 | 8 | MediaTek | 17,617 | 3.0% | 10,988 | 60.2% |
8 | 7 | Texas Instruments | 17,272 | 2.9% | 13,619 | 26.8% |
9 | 10 | NVIDIA | 16,815 | 2.8% | 10,643 | 58% |
10 | 14 | AMD | 16,299 | 2.7% | 9,665 | 68.6% |
― | ― | その他 | 270,354 | 45.4% | 214,982 | 25.8% |
合計 | 594,952 | 100% | 470,889 | 26.3% | ||
出典:Gartner(2022年4月) |
Intelは2019年に、市場首位の座を取り戻した。これは、メモリ市場の減速によって、2018年と2017年に売上首位だったSamsungを含む多くの主要サプライヤーが打撃を受けたためである。
2021年に最も急落した半導体サプライヤーはHiSiliconだ。Gartnerのリサーチバイスプレジデントを務めるAndrew Norwood氏は声明で、「HiSiliconの2021年の売上高は、2020年の82億米ドルから15億米ドルに、81%も減少した。これは、同社と親会社のHuaweiに対する米国の制裁による直接的な結果だ」と述べている。
HiSiliconがトップ25から転落したことは、半導体市場における中国のシェアにも影響を及ぼし、2020年の6.7%から2021年には6.5%に減少した。一方、韓国は2021年に最もシェアを伸ばした。Norwood氏は、「メモリ市場の力強い成長によって、韓国は世界半導体市場で19.3%のシェアを獲得した」と付け加えている。
これに対し、欧州はシェア回復に苦戦しており、欧州企業がトップ10にランクインしたのは2019年が最後となっている。当時8位にランクインしたスイスのSTMicroelectronicsの市場シェアは、2.3%だった。
2020年の世界半導体売上高は5950億米ドルに
Gartnerによると、2021年の世界半導体売上高は2020年の4498億米ドルから26.3%増となる5950億米ドルに達したという。同分野の売上高は、2019年に前年比12%の減少に直面していた。
2021年は、車載市場が34.9%、無線通信市場が24.6%成長した。Gartnerによると、5G(第5世代移動通信)スマートフォンの生産台数は2020年の2億5100万台から2021年には5億5600万台に達し、企業はオフィス勤務に戻る従業員のためにWi-Fiインフラをアップグレードしたという。
2021年の世界半導体売上高に占めるメモリの割合は、DRAMにけん引されて、27.9%に達し、売上高は前年と比べて33.2%、413億米ドルの増加となった。メモリは過去2年間、勤務や授業形態が在宅/ハイブリッドに移行したことで、需要増の恩恵を受け続けた。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Time Japan】
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