ファブ装置投資、2022年は過去最高の1070億米ドル:2023年も連続1000億米ドル台へ
SEMIは、半導体前工程製造装置(ファブ装置)への投資額を発表した。これによると、2022年は過去最高の1070億米ドルに達すると予測した。2021年に比べ18%の増加で、2020年より3年連続の成長となる。
2023年の生産能力、月産2900万枚(200mmウエハー換算)と予測
SEMIは2022年3月22日(米国時間)、半導体前工程製造装置(ファブ装置)への投資額を発表した。これによると、2022年は過去最高の1070億米ドルに達すると予測した。2021年に比べ18%の増加で、2020年より3年連続の成長となる。
今回の予測は、1426のファブ/ラインに関するデータを収録する「World Fab Forecastレポート」の最新版に基づいたもの。2022年の投資額を地域別にみると、台湾が350億米ドルで首位となる。前年に比べ56%の増加である。これに続くのが韓国で、前年比9%増の260億米ドルと予測。3位は中国で、前年比30%減の175億米ドルを見込む。欧州/中東は、過去最高となる96億米ドルと予測した。台湾や韓国、東南アジアでも、過去最高の投資額となる見通し。
活発な設備投資により、半導体ファブ生産能力も向上する。同レポートによれば、生産能力は2021年に7%増加し、2022年も8%の増加となる。引き続き2023年も6%の増加が見込まれている。200mmウエハー換算で2023年の生産能力は月産2900万枚と予測した。
2022年における装置投資額の83%以上を占めるのが150のファブ/ラインにおける生産能力拡張である。2023年は122のファブ/ライン拡張が計画されているという。
投資額を分野別にみると、その構成比率はファウンドリ関連が約50%、メモリ関連が35%である。生産能力の増加分もこの2分野が大半を占めることになる。
SEMIのプレジデント兼CEOを務めるAjit Manocha氏は、「全世界の半導体製造装置投資額が初めて1000億米ドルを上回るのは、半導体産業にとっても大きな歴史的マイルストーンとなる」とコメントした。
また、SEMIのコーポレートマーケティングおよび市場情報担当副社長を務めるSanjay Malhotra氏は、「世界のファブ装置投資額は2023年も好調が予測されており、連続して1000億米ドルを上回るだろう。世界の半導体生産能力は2022年から2023年にかけて、安定した成長を見せると予測している」と述べた。
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