半導体メーカーにおける「小規模M&A」の価値:大規模買収は減少(2/2 ページ)
半導体業界は、困難な状況に見舞われている。半導体需要の急増とサプライチェーンの問題が同時に起こり、エコシステムが衝撃を受けている。半導体業界のリーダー各社は、新しいリソースや機能との競争力を維持するには、独自の機会を活用する革新的な方法を見つけなければならないことを理解している。
小規模M&Aで成功される3つの要素
技術の優位性
企業が次世代のインプット(半導体やバッテリーなど)の開発にいかに迅速に取り組み、次世代のアウトプット(自動車や装置など)を提供できるか。取引のポイントが技術の優位性にある場合、買収サイドは、新しい技術スタックが既存機能をどのように補完し、新しい事業体としていかに機能するかを買収完了前の計画で定義しておく必要がある。
ここで心に留めておくべき基本的なルールは、「現在機能しているものを混乱させないこと」だ。そのためには、既存の販売チャネルや、M&Aを行う企業と対象企業、両社が長い時間をかけて培ってきたブランド力を維持することが重要である。
製品およびプロセスの進化
企業が業務の方法をいかに変革できるか。オペレーションを最適化するのが一般的である(コスト削減など)。半導体企業は、M&Aを利用して業務の最適化に役立つ物理的資産を入手し、競争力を高めるべく業務変革を行っている。これには、業績管理などの社内的なオペレーションと、オフィス/工場やデジタルマーケットプレースなど構造的なオペレーションの両方が含まれる。
例えば、多くのハイテク企業と同様に、半導体企業もチップ/製品の販売からSaaS(Software-as-a-Service)の販売に移行しつつある。このため、新たな販売能力とツールが必要になる。また、M&Aは企業のサプライチェーン強化にもつながり、生産能力を確保するために工場を買収することもある。
人材の獲得
M&Aを活用して人的資本の潜在力を強化できるか(起業家でもある創業者、高度な専門的知識を持つ人材、革新的なアイデアを持つ人材などを雇用できるか)。適切な人材を獲得することで、業界知識を深め、ブランドを変革し、全体的なコラボレーションを向上できる。そのためには、M&Aディールライフサイクルの早い段階で人材戦略を確立することが重要になる。
企業にとって優先すべきは、“カルチャーショック”を回避し、人材の流出を最小限に抑えることだ。特に、人材の獲得を目的としてM&Aを持ちかけるのであれば、人材流出は最も避けたいことだろう。企業文化をいかに統合し、買収完了までの期間も企業としての勢いを維持するか、独自の戦略を立てる必要がある。
変化し続ける半導体業界の中で勝者となるのは、明確な将来のビジョンを持ちながら、規律ある売却と買収を通じてM&Aの強みを構築できるリーダーである。M&Aが成功するには、全体的な成長戦略の見通しを維持することが重要である。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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