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受電側フロントエンドにおける整流回路定数と電源IC福田昭のデバイス通信(367) imecが語るワイヤレス電力伝送技術(21)(2/2 ページ)

今回から、「7. 放射型ワイヤレス電力伝送の応用例」の講演部分を紹介する。主に受信側の回路を解説する。

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ダイオード整流回路の回路定数選択

 「7.1 整流回路と負荷」は、インピーダンス整合回路(インピーダンスマッチング回路)の後段にくる負荷(整流回路)の入力インピーダンス設計を主題とする。本コラムの第357回(本シリーズの第11回)で説明したように、インピーダンス整合回路によって整流回路の入力電圧を最大化すると、負荷である整流回路の入力電圧Vrectは「Pavの2倍を負荷コンダクタンスGLで割った値の平方根になる。なお負荷コンダクタンスGLの逆数は、負荷抵抗RLの2乗と負荷リアクタンスXLの2乗を合計した値を負荷抵抗RLで割った値でもある」(本文末尾から引用)。


アンテナから整流回路(負荷)までの等価回路(左)と、整流回路の入力電圧(右)[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)

 ここで整流回路の回路定数の選択には、2通りの考え方がある。1つは負荷抵抗RLを最大化する考え方。もう1つは、負荷リアクタンスXLを最大化するとともに負荷抵抗RLを最小化する考え方(XL >>RL)である。整流回路で一般的なショットキーダイオードは寄生抵抗が低くて寄生容量が高い。従って後者の考え方を選ぶことになる。

Broadcomのダイオード製品とTIのコンバーター製品を採用

 具体的な回路製品の選択に入ろう。ショットキーダイオードにはBroadcomの「HSMS-2852」(2個のショットキーダイオードを内蔵)を、DC-DCコンバーターにはTexas Instruments(TI)の「BQ25570」(参考記事:「整流回路の出力を所望の電源電圧に変換するコンバーターの原理」)を採用した。負荷としてのDC-DCコンバーターの値は約10kΩになる。電力伝送に使用する周波数は868MHz帯あるいは915MHz帯である。

 なお「HSMS-2852」は、電子部品商社のウェブサイトでは生産中止品や取り扱い休止品などとなっていることが少なくない。注意されたい。


採用したショットキーダイオードとDC-DCコンバーターの製品名と、使用する周波数帯域の電力規制値。なおAvago(現Broadcom)の「HSMS-2852」は生産中止品となっている[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)

(次回に続く)

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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