ハードもソフトも全てオープンソースのRISC-V開発キット:embedded world 2022
カナダに拠点を置くOpenHW Group(以下、OpenHW)は2022年6月21日、IoT(モノのインターネット)向けのRISC-Vベース「CORE-V MCU」の開発キットを発表、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2022」(2022年6月21〜23日)でその概要を紹介していた。同キットはハードウェア、ソフトウェアおよび開発ツールなど、全てオープンソースなのが特長だ。
カナダに拠点を置くOpenHW Group(以下、OpenHW)は2022年6月21日、IoT(モノのインターネット)向けのRISC-Vベース「CORE-V MCU」の開発キットを発表、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2022」(2022年6月21〜23日)でその概要を紹介していた。同キットはハードウェア、ソフトウェアおよび開発ツールなど、全てオープンソースなのが特長だ。
OpenHWは、SoC(System on Chip)の量産に必要なハードウェアとソフトウェアとともに、オープンソースのプロセッサコアを開発、検証、提供することを目的に2019年に設立した非営利組織。メンバー/パートナーにはAlibaba GroupやAWSなど88以上の企業/団体が名を連ねており、「多くの強力なプレイヤーが続々と参加しており、拡大を続けている」(説明員)という。
OpenHWは発足と同時にRISC-Vベースのオープンソースコアおよび関連するプロセッササブシステムIP(Intellectual Property)、ツール、ソフトウェアのシリーズである「CORE-V」ファミリーを発表しその開発を進めている。なお、OpenHWのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)は、以前RISC-V FoundationのエグゼクティブディレクターだったRick O’Connor氏が務めている。
参加メンバーの協力の結晶
今回発表したのは、OpenHWのオープンソースの32ビットRISC-Vコア「CV32E40P」をベースにしたCORE-V MCUの開発キットだ。CV32E40Pは、RV32IMFCを実装した4段パイプラインの小型/効率的なRISC-Vコアで、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)とボローニャ大学によって開発された「PULP(Parallel Ultra Low Power)」プラットフォームの「RI5CYコア」をベースにしたもの。RI5CYコアを基に、英国ImperasやSiemens EDA、Silicon Laboratoriesなどのメンバー企業が設計と検証を進めてきたとしている。
またCORE-V MCUには、AI(人工知能)や機械学習のワークロードを加速するために設計されたQuickLogicのeFPGA(embedded FPGA )も搭載している。CORE-V MCUのデジタルインテグレーションとバックエンド設計は、QuickLogicとCMC Microsystemsが担当。なお、CORE-V MCUは、GlobalFoundriesの「22FDXプラットフォーム」で製造される。
CORE-V MCU開発キットのPCBボード設計はAWSが主導したという。ボードには電源/データ/デバッグ用のUSB Type-CやJTAG、40ピンGPIO、mikroBUSソケットのほか、AWS IoT ExpressLinkモジュールなどが搭載されている。ソフトウェア開発キットには、統合開発環境やデバッカー、GCCコンパイラ、リアルタイムOSの「FreeRTOS」、Wi-FiによるAWS IoT ExpressLink接続などが含まれている。
さらに、Imperasは、CORE-V MCU用シミュレーター「riscvOVPsimCOREV」を無償で公開している。
説明員は、「コアやMCU設計、ソフトウェアそしてソフトウェア開発のためのツールチェーンまで全てがオープンソースという全く新しい取り組みの成果として今回、発表することができた。この開発のために、さまざまな企業が協力し合ってエコシステムを構築しているという事実が重要であり、今後もさらなる開発を進めていく」と語っていた。
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