Sigfoxは次世代へ、新たなオーナーUnaBizの戦略:LPWAの相互運用性の実現も視野に(2/2 ページ)
フランスSigfox社を買収し、IoT業界を驚かせたシンガポールのスタートアップUnaBiz。同社は、Sigfoxネットワークの新たなオーナーとして、次世代のSigfox構築を目指している。
UnaBizがSigfoxネットワークで目指す3つの戦略
Sigfoxのオペレーターでもあり、オーナーでもあるUnaBizは、Sigfoxのネットワークを次の段階に引き上げることを目指す。オーナーとして、Sigfoxの仕様開発やプロトコル変更/改善など、ネットワークのコアな技術に携われるようになるので、「大きなチャレンジだが、非常にエキサイティングな立ち位置を確保した」とBong氏は強調する。
Sigfoxを進化させていく上で、Bong氏は3つの戦略を考えている。1つ目は、オープン性と相互運用性だ(Bong氏は「オープン&コンバージ(Open and Converge)」と表現していた)。Sigfoxは独自プロトコルを用いているLPWAだが、これはある意味「排他的で閉鎖的」だとBong氏は述べる。「われわれはこうした環境を変え、例えばSigfoxモジュールのライブラリをオープン化するなど、誰もが、より簡単にSigfox市場に参入できるようにしていきたい」(同氏)
さらに、LoRaやWi-SUNなど、920MHz帯のアンライセンスバンドを使用する他のLPWAとの相互運用性の実現も視野に入れている。「現在、73カ国で展開されているSigfoxの基地局が、他のLPWAのプロトコルもサポートできるようになり、LPWAのユーザーが同じモジュールを使用できるようになれば、利便性は非常に高くなるだろう」(Bong氏)
2つ目は、さらなる低コスト化、低消費電力化である。「セルラーネットワークは、より高周波、より低遅延の方向に向かっている。LPWAは、より低コスト、より低消費電力の方向性で進化し、差別化していく」とBong氏は述べる。「現時点でもSigfoxのモジュールは、Wi-FiやBluetooth、LoRaなどのモジュールに比べて安価(約3米ドル)だが、さらなる低価格を目指す。最終的には1米ドルを切る価格帯での提供も視野に入れている」
3つ目はサステナビリティ(持続可能性)の実現だ。例えば、環境発電を利用してデータを送信できれば、バッテリーの製造量や搭載量を低減できる可能性がある。より低消費電力化すれば、それだけバッテリー寿命が長くなり、部品の廃棄量の削減にもつながる。
日本市場での狙い、引き合い
先述したように、UnaBizは早い段階から日本でパートナーやクライアントを開拓し、ニチガスの事例のように大型プロジェクトも進めてきた。日本でのビジネス拡大に本格化すべく、ちょうど1年前となる2021年6月には日本オフィスを開設している。
UnaBiz Japanの代表取締役を務めるPascal Gerbert-Gaillard氏は、日本で注力するアプリケーションとして、スマートメーカー、スマート施設管理、資産トラッキングの3つを挙げた。特に、3つ目の資産トラッキングについては急成長を見込んでいるという。
スマート施設管理については、2022年4月にソフトバンクロボティクスグループとの戦略的提携を発表した。両社は、Sigfox対応のIoTセンサーとロボティクスを統合し、施設の管理や清掃、メンテナンスのスマート化を目指す。
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