エネルギーハーベスティング電源ソリューション:ニチコンとe-peasがIoT機器向け
ニチコンとベルギーのe-peasは、小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」とエネルギーハーベスティング用PMIC(パワーマネジメントIC)を組み合わせた「エネルギーハーベスティング電源ソリューション」を開発した。
暗所でもセンサー端末への電力供給を4カ月以上も継続
ニチコンとベルギーのe-peasは2022年7月、ニチコン製小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」とe-peas製エネルギーハーベスティング用PMIC(パワーマネジメントIC)を組み合わせた「エネルギーハーベスティング電源ソリューション」を開発したと発表した。多数のセンサーを活用し、長期間にわたってデータの収集を行う環境モニタリングシステムなどの用途に向ける。
エネルギーハーベスティング電源ソリューションに用いるSLBシリーズは、IoT機器に特化した電池。大電流の充放電が可能で、耐久性は最低でも2万5000サイクルを実現している。2019年に市場投入したが、これまでに3000万個以上を出荷したという。
一方、e-peas製PMICは「AEM10941/AEM10330/AEM10300」である。過電圧や過放電に対する保護機能を備えている。特にAEM10330/AEM10300は、SLBシリーズの定格動作条件に適合する蓄電素子バンクをあらかじめ設定している。AEM10941は、カスタム構成モードに対応した。これによってシステム設計者は、用途に応じSLBシリーズを最適化することができるという。
提供するエネルギーハーベスティング電源ソリューションは、双方の漏れ電流が極めて少なく、エナジーハーベスターで収集したエネルギーの99.9%を利用できる。「SLB03070LR35」と「AEM10300」を組み合わせて性能評価を行ったところ、数週間〜数カ月にわたってハーベスターからエネルギーが供給されなくても、センサー端末などは稼働することを確認した。具体的には、暗所でもセンサー端末への電力供給を4カ月以上継続できることを実証した。センシングとデータ通信を行っても、1カ月間の電池電圧の総減衰は、86mVとわずかであった。
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