ニーズが急増、キーサイトがEV充電アナライザーなど展示:TECHNO-FRONTIER 2022
キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は「TECHNO-FRONTIER 2022」(2022年7月20〜22日/東京ビッグサイト)で、EV(電気自動車)充電アナライザーやパワーモジュールアナライザー、新型オシロスコープ、DC電子負荷など、注目の製品群を展示した。
キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は「TECHNO-FRONTIER 2022」(2022年7月20〜22日/東京ビッグサイト)で、EV(電気自動車)充電アナライザーやパワーモジュールアナライザー、新型オシロスコープ、DC電子負荷など、注目の製品群を展示した。
EVバッテリーの充電アナライザー
キーサイトの説明担当者が「今、引き合いがとても多い」と明かすのが、EV充電アナライザー「SL1040A」だ。CHAdeMO(日本)やCCS(欧米)、GB/T(中国)など世界の主要な急速充電規格に対応するので、これ1台でEV充電の相互接続性を検証できる。
具体的には、1)EV充電器と車両の間にアナライザーを配置して解析するMan-in-the-Middle Test、2)電源と接続して充電器のエミュレーションを行い、車両の評価を行うEVテスト、3)電子負荷と接続して車両のエミュレーションを行い、充電器の評価を行うEVSE(充電器)テスト、の3つを行える。
EVの普及が進むにつれて、これまでは分からなかった、バッテリーの充電に関わる課題やトラブルが明らかになってきたとキーサイトの担当者は語る。「SL1040Aは数年前に市場に投入した製品だが、ここにきてニーズが非常に高まっている」(同担当者)
次世代パワーモジュールを“安全に”評価
パワーモジュールの動特性を測定する「PD1550A」も紹介した。2022年6月に発表したばかりの新しい製品で、テストフィクスチャ、オシロスコープ、電源などで構成されている。キーサイトは2019年に、PD1550Aの前世代品となる「PD1500A」を発表しているが、同製品はディスクリートパワーデバイスが対象だった。PD1550Aは、パワーモジュールに対応していて(現時点ではディスクリートには対応していない)、特にSiC、GaNなどワイドバンドギャップ(WBG)半導体パワーモジュールの評価を従来よりも迅速かつ容易に行える。
PD1550Aは、パワーモジュールの測定を安全かつ高い再現性で行えることも特長だ。キーサイトによれば、SiCやGaNベースのパワーモジュールの評価には、従来のSi(シリコン)パワーモジュール向けテスターや、電源やオシロスコープ、ファンクションジェネレーターなどを統合して自作するカスタムセットアップが使われているケースが多いという。こうしたケースでは、定格電圧がSiベースよりも高いパワーモジュールの安全な測定や、測定結果の再現性や相関性などの面で、課題がある。
PD1550Aは、これらを解決するものだ。安全性を考慮し、扉のロック機能や緊急停止ボタンなどを備えている。測定したデータ(波形や抽出したパラメータなど)はローカルにデータベースとして保存され、測定結果の比較や、以前の測定条件の呼び出し/再現などが容易に行える。「実は測定条件や測定結果などのデータは、紙とペンを使って記録しているエンジニアも多い。そのため、以前の測定データを参照する(探す)のに時間がかかることもある。PD1550A用のソフトウェアは、こうした手間も省ける」(キーサイト)
エントリーモデルでも使い勝手を追求
「InfiniiVision 3000G Xシリーズ」は、エントリーモデルながら100万波形/秒の波形更新レートを実現していて、「異常を取りこぼすことなく捕捉することができる」(同社)モデルだ。タッチスクリーンを搭載し、見たい波形を囲んで選ぶだけでトリガーをかけられる「ゾーン・タッチ・トリガ」機能を備えている。エントリーモデルである「InfiniiVision」シリーズの一つとして、「コストパフォーマンスの高さを維持しつつ、使い勝手の良さも追及したシリーズ」(同社)だと強調する。
DC電子負荷の「EL34000A」も展示した。2チャンネルを1台にまとめたもので、小型な点が特長だ。UI(ユーザーインタフェース)をソース電源など他の機器とそろえ、操作性の向上も図った。
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