ディスプレイデバイス市場、2021年をピークに減少:富士キメラ総研が世界市場を調査
近年のディスプレイデバイス世界市場は、2021年にピークを迎え、それ以降は減少傾向が続く見通しである。富士キメラ総研が、ディスプレイデバイスと関連部材の世界市場を調査した。
中小型AMOLED市場、2027年には3兆9701億円規模へ
富士キメラ総研は2022年7月、ディスプレイデバイスと関連部材の世界市場を調査し、その結果を発表した。近年のディスプレイデバイス世界市場は2021年にピークを迎え、それ以降は減少傾向が続くとみている。この中で、2027年には大型AMOLED市場が8063億円規模に、中小型AMOLED市場は3兆9701億円規模になると予測した。
今回は、大型TFTや中小型TFT、大型AMOLED、中小型AMOLED、マイクロOLED、マイクロLCDといった「ディスプレイデバイス」、TVやノートPC、スマートフォン、車載ディスプレイといった「アプリケーション機器」および、「ディスプレイ関連部品材料」を調査対象とした。調査期間は2022年3〜6月。
ディスプレイデバイス市場は大きな転換期を迎えている。2022年以降はTVやPCモニター、ノートPCなどの需要が減少する。このため、パネルメーカーや材料メーカーは事業の見直しや拠点の再編などに取り組んでいる。技術開発の重点も、従来のLEDからAMOLEDやマイクロLEDといった製品への移行が目立ってきたという。
ディスプレイデバイスを製品カテゴリー別に予測した。大型TFT市場はノートPCやタブレット端末の需要減少などから2022年は大幅縮小。2023年以降も減少傾向は続くとみている。中小型TFT市場も、2022年はスマートフォン向けが減少する。その理由としてAMOLEDへの切り替えが進むことを挙げた。車載ディスプレイ用途では曲面ディスプレイが堅調に推移するとみている。
大型AMOLED市場は、TV向けW-OLEDが中心となって市場を形成しているが、中国における新型コロナウイルス感染症の感染拡大などもあり、2022年は製品の出荷が伸び悩む。QD-OLEDは、TVやPCモニター向けで市場拡大が見込まれる。ただし、パネルのコスト高もあって、2023年以降は緩やかに拡大すると予測した。コストダウンの対策として、OLEDの封止膜上にCFを形成する技術や、QNED(Quantum dot Nano rod LED)の開発が進んでいるという。
中小型AMOLED市場は、スマートフォン需要の停滞もあり、市場成長は鈍化すると予測した。これに対し、ノートPCやタブレットなどIT向けAMOLEDの需要拡大に注目している。
マイクロOLEDやマイクロLCD市場は、スマートグラスなどの動きに期待する。特にB to C用途に注目する。屋外での使用頻度も増え、高輝度タイプのマイクロLEDの採用が増えると予測した。
ディスプレイ関連部品材料の世界市場についても調査した。「LCD・OLED共通関連部材」の市場規模は、2022年見込みの1兆702億円に対し、2027年は1兆1604億円になると予測した。同様に、「LCD関連部材」は1兆5926億円から1兆6383億円に拡大。「OLED関連部材」は、3117億円から4446億円の規模になると予測した。
さらに、同社が注目市場として挙げたのが「TFT基板用の熱硬化性ポリイミド(PI)ワニス」と「量子ドット(QD)インク」である。TFT基板用PIワニス市場は2022年見込みの102億円に対し、2027年は248億円になると予測した。QDインク市場も同様に、196億円の見込みに対し、311億円の市場規模を予測している。
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