HDD大手Seagateの四半期業績、インフレ圧力とCOVID-19で急速に悪化:福田昭のストレージ通信(225)(2/2 ページ)
米Seagate Technologyの2022会計年度第4四半期(2022年4月〜6月)の業績を紹介する。
HDD製品とSSD製品の両方で前年比の売上高が2桁減に
Seagateは製品別の売上高を、「HDD製品」と「その他(SSD製品やシステム・ソリューションなど)の製品」に分けて公表してきた。売り上げのほとんどを占めるのは、「HDD製品」である。「HDD製品」の売り上げは前四半期(前期)比6.0%減、前年同期比11.9%減の24億1000万米ドルとなった。「その他(システム・ソリューションやSSD製品など)の製品」の売り上げは、前四半期(前期)比8.0%減、前年同期比21.0%減の2億1800万米ドルである。
大容量HDDとニアラインHDDの総出荷記憶容量が過去最大を更新
Seagateは、HDDの総出荷記憶容量と1台当たりの記憶容量(平均記憶容量)を製品分野別に公表してきた。製品分野には「大容量品(マスキャパシティ品)」と「既存品(レガシー品)」の2つがある。マスキャパシティ品には、ニアラインHDD、画像データ(VIA:video and image applications)用HDD、NAS(Network Attached Storage)などが含まれる。レガシー品にはミッションクリチカルHDD、デスクトップPC用HDD、ノートPC用HDD、デジタルビデオ録画用HDD、ゲームコンソール用HDDなどが含まれる。
マスキャパシティ品の総出荷記憶容量は、2022会計年度第4四半期(2022年4月〜6月期)に前四半期(前期)比4.4%増の138.5EB(エクサバイト:1018バイト)となった。2四半期ぶりに過去最大容量を更新した。マスキャパシティ品の大半を占めるニアラインHDDの総出荷記憶容量は前四半期(前期)比1.3%増の119.0EBである。ニアラインHDDの総出荷記憶容量も過去最大を更新した。
マスキャパシティ品の平均記憶容量(1台当たりの記憶容量)は前の四半期から0.6TB増加し、11.5TBとなった。マスキャパシティ品の売上高は約19億米ドルであり、前の四半期とほぼ変わらない。HDD全体の売上高に占めるマスキャパシティ品の割合は前の四半期に比べて5ポイント上昇し、80%に達した。
レガシー品の総出荷記憶容量は2022会計年度第4四半期(2022年4月〜6月期)に前四半期(前期)比25.1%減の16.1EBである。前四半期に続いて2桁減となった。平均記憶容量は2.0TBで、前の四半期から2%増加した。
HDD全体の総出荷記憶容量は154.6EBである。前四半期の154.2EBとほとんど変わらない。HDD全体の平均記憶容量は7.8TBと前の四半期から1.1TB増加した。
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