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IntelのtGPU生産遅延、TSMCの3nmプロセス展開にも影響量産開始は2023年末に(2/2 ページ)

アナリストによると、Intelが近々発表を予定していたプロセッサ「Meteor Lake(開発コード)」に搭載するGPUチップレットの生産に遅れが生じているという。これによって、TSMCの3nmプロセス技術のロールアウトにも遅延が発生する見込みだ。

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Appleが3nmプロセスの第一波をリード

 Trendforceによると、Intelの生産遅れにより、2022年後半から2023年初頭にかけて、AppleがTSMCの3nmプロセスの顧客企業の第一波をリードすることになるという。ここには、AppleのMシリーズチップや「A17 Bionic」チップなどが含まれる。


AppleのSoC(System on Chip)「M1 Pro」は、 337億個のトランジスタを搭載している。これは、前世代の「M1」の2倍以上の数だ。[クリックで拡大]出所:Apple

 2年以上前からコロナ禍において発生している半導体業界のサプライチェーン問題により、現在も半導体不足が続いている。このために、スマートフォンや自動車などのさまざまなメーカーが、工場の閉鎖や従業員解雇を実施せざるを得ない状況に追い込まれている。需要に追い付こうと、半導体メーカーが生産拡大に向けて投じた資金は、過去最高額に達する。また、世界各国の政府は、半導体メーカーに助成金を提供することにより、現地生産への投資を促進し、供給を確保しようとしている。

 Trendforceの予測によれば、3nmチップの生産拡大には莫大なコストがかかるため、Intelの生産予定が遅れることによって、TSMCの2023年の設備投資費が2022年を下回るなどの影響が及ぶとみられる。

 TSMCはもともと、2022年の生産能力拡大に向けて400億米ドル以上を投じる予定だったが、2022年7月にその金額を下方修正している。PCや民生機器などの分野において在庫削減が予測され、需要の見通しが悪化したためだ。

 TSMCのNina Kao氏は2022年8月5日(米国時間)、EE Timesのインタビューに対し、「当社の生産能力拡大計画に変更はない」と答えている。

 Trendforceによると、TSMCは、Intelによって生じた不足分を補うため、AMDやMediaTek、Qualcommなどをはじめとする他の最先端プロセスの顧客企業に目を向けていくことになるという。これらのメーカーはいずれも、2024年に3nmチップの生産開始を予定している。

 Intelは、Meteor Lakeの計画について概要を明らかにしているが、その中にはTSMCに関する情報も含まれる。

 Intelのシニアバイスプレジデントを務めるStuart Pann氏は、2021年8月に投稿したブログで、「Meteor Lakeのコンピュートタイルは、最先端のIntel 4プロセス技術を適用して製造する予定だ。一部のタイルについては、TSMCが製造をサポートする」と述べている。ちなみにこの「タイル」とは、半導体業界で言うところの「チップレット」に当たる、Intelの用語である。

 Trendforceは、「もしIntelが、自社の最先端ノードの生産スケジュールに対応できない場合、その計算タイルの生産をTSMCにアウトソーシングする可能性がある。しかし、Intelが計画通り順調に進められた場合は、TSMCへの発注を減らすことになるだろう」と述べる。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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