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ルネサス、甲府300mm工場で量産する車載用IGBT発表トータルソリューション強みにシェア拡大へ(2/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは2022年8月30日、電気自動車やハイブリッド車などxEV(電動車)向けのインバーター用パワー半導体として、新たな世代のプロセスを採用した絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)を発表した。同社従来世代プロセスを採用したIGBT製品と比べ、電力損失を約10%改善するとともに、破壊耐量を維持しながら10%の小型化を実現した。

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シェア向上へのキーワード「ソリューション」「新興国」

 需要拡大が見込まれる車載用IGBTだが、各パワー半導体メーカーが注力する領域でもあり競争は激しい。IGBT市場でのルネサスのシェアは高いとは言えない状況だが、ルネサスではシェアの高いマイコンや近年の積極的な買収策で強化してきたアナログICを含めた品ぞろえの多さを強みに、車載インバーター領域での事業拡大を図る方針。

 今後、事業拡大に向けて特にフォーカスを当てるのが中国、インドといった新興国市場だ。

 「中国やインドなどの新興国の自動車メーカーは、これまで日本や欧米などのティア1サプライヤーからインバーターシステムを調達してきたが、最近では、内製化する動きが出始めている。そして内製化に切り替えるために、新興国の自動車メーカーはシステムソリューションを求めている。そこにルネサスは(IGBT単品ではなく)マイコンやアナログICを組み合わせたインバーターシステムの提案ができる」とする。


IGBTをはじめ、マイコン、アナログICといったルネサス製品をベースに作成した評価用100kW級インバーターシステム[クリックで拡大]

 ルネサスでは2018年ごろから、自動車に搭載可能なレベルの評価用インバーターシステムを開発。同評価用インバーターシステムを使用すれば「一次試作の工程を飛ばし、最終試作工程からインバーター開発に着手できる。時間にして2年ほど短縮できるターンキーソリューションになっている」という。

左=走行可能なデモカーに搭載された評価用インバーターシステム(写真中央)[クリックで拡大]
右=ルネサス 武蔵事業所(東京都小平市)にあるインバーター評価設備内部の様子。評価用インバーターシステムにモーターを実際に接続して評価、テストが行えるようになっている[クリックで拡大]

 こうした取り組みの結果、「新興国での商談獲得が順調に進んでいる」とし「xEV関連の商談獲得金額は2021年は2019年比4.2倍に達した。今後5年間は、年平均40%以上の成長率で売り上げが拡大していく見込み」との見通しを示した。

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