住友化学、米国に半導体用プロセスケミカル新工場建設へ:旺盛な需要「確実に取り込む」
住友化学は2022年9月1日、米国に半導体用プロセスケミカル製造の新工場を建設すると発表した。同社は、「半導体用プロセスケミカル事業の米国市場における戦略的な拠点として、旺盛な需要を確実に取り込み、米国市場での事業拡大を目指す」としている。新工場の稼働開始は2024年度を予定している。
住友化学は2022年9月1日、米国に半導体用プロセスケミカル製造の新工場を建設すると発表した。同社は、「半導体用プロセスケミカル事業の米国市場における戦略的な拠点として、旺盛な需要を確実に取り込み、米国市場での事業拡大を目指す」としている。新工場の稼働開始は2024年度を予定している。
住友化学は2022年9月中に、同社の100%子会社である韓国の東友ファインケムを通じ、テキサス州に新会社Sumika Semiconductor Materials Texas(資本金1億3000万米ドル)を設立し、新工場建設を進める予定だ。
住友化学は新工場建設の狙いについて、米国で先端半導体メーカー各社が工場の新増設計画を発表している状況に触れ、「新工場の建設を決めたのは、こうした米国での旺盛な半導体材料の需要を確実に取り込むことを狙いとしている」と説明している。
住友化学は、半導体用プロセスケミカル事業について、1978年に千葉工場(千葉県市原市)で半導体製造の精密洗浄などに用いられる高純度ケミカルの生産を開始し、アジア各国で供給体制を構築してきた。同社は、「当社は、製品中の不純物をppt(parts per trillion=1兆分の1)レベルまで低減させる超高純度化技術や微小不純物分析技術に基づく品質保証体制という技術面での強みに加えて、機動的な供給体制整備により、国内外の半導体メーカーから高い評価を受けている」と強調している。
また、同社は、アリゾナ州にある子会社、住友化学アドバンストテクノロジーズで化合物半導体事業を展開しており、「今回の新工場建設で、米国半導体産業の集積地であるテキサス・アリゾナ両州に拠点を築くこととなり、米国での半導体ビジネスの展開を一層加速させていく」と述べている。
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