「日本は重要な市場」、パワーとセンサーで事業拡大へ:オンセミ社長 林孝浩氏(2/2 ページ)
米onsemiの日本法人であるオンセミの代表取締役社長に2022年3月、林孝浩氏が就任した。半導体メーカーの中でも幅広い製品群を手掛け、業績も好調に推移するonsemiの日本法人社長として、何を目指していくのか。林氏に聞いた。
林氏が考える「onsemiの強み」
――林さんは長年、半導体業界に携わっていて、今回はマキシム・ジャパンから来られたわけですが、onsemiの強みをどう見ていますか。
林氏 強みの一つはパワー半導体だと考えている。世界中で省エネが強く求められ、温室効果ガスの削減など環境問題への対策が喫緊の課題となる中で、パワー半導体は大きな役割を果たす技術だ。特に、温室効果ガスについては、自動車と産業機器の分野で、全体の排出量の60%を占めるともいわれている。これら2つはちょうどonsemiの注力分野でもあり、当社が技術を研さんしてきたSiCパワーデバイスなどが、温室効果ガスの削減に貢献できるのは社会的意義が大きい。
――SiCパワーデバイスの戦略についてお聞かせください。GaNについては以前から注力しないという方針でしたが、今後もそれは変わらないでしょうか。
林氏 大きな方針としてはSiCに注力していくというのは変わらない。当社がターゲットとする自動車やインダストリアルでは、650Vや900V、1200Vといった高い耐圧が求められる。GaNが貢献するのは、耐圧がもう少し低い領域だ。
当社は、SiCパワーデバイスの製造の全工程を自社で行うことができる垂直統合型のサプライヤーである。これは昨今、特に問題となっている供給の安定性を実現する上で大きな強みだ。2020年3月には、GT Advanced Technologies(GTAT)とSiC素材の供給契約で合意を結ぶなど、SiCにおいて、より堅ろうで安定的なサプライチェーンの構築を目指している。
SiC採用についても、いくつかの自動車メーカーと交渉を進めている。5〜10年後には、自動車分野でもSiCが主流になっていくと見ている。
――最近発表したSiC製品の中で、onsemiの技術力を示すような、特徴的な製品はありますか?
林氏 2022年5月に発表した650V SiC MOSFET「NTBL045N065SC1」が挙げられる。TOLL(TO-Leadless)パッケージ封止を採用した製品で、パッケージ寸法が9.90×11.68×2.30mmと、従来のD2PAKパッケージに比べ60%の体積を削減している。PCB(プリント基板)の面積も30%削減することが可能だ。
onsemiのSiCは、耐圧650V、900V、1200V、1700Vの製品をラインアップしており、充電インフラやエネルギーストレージ、太陽光発電システムなどに向け製品群の強化を図っている。
――イメージセンサーの戦略についてお聞かせください。
林氏 当社は車載向けイメージセンサーではトップシェアを獲得している。自動車以外では、マシンビジョン、ロボティクス、FAへの展開を狙う。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、世界中の工場でFAが進んでいる。イメージセンサーは、人の目の代わりとなり、さまざまなことを判断するための手段になり得る。
――日本の売上高目標についてお聞かせください。
林氏 onsemiでは、2021〜2025年の5年間で、CAGR7〜9%の売上高成長を目指している。日本もその目標に沿って、ビジネスを拡大していく。
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