IntelのCEO、「今後もAMDに市場シェアを奪われる」:鍵は「Sierra Forest」か
IntelのCEO(最高経営責任者)であるPat Gelsinger氏は2022年9月、同社がデータセンター向け機器市場において、今後もライバルであるAMDにシェアを奪われていくだろう、との見解を明らかにした。
IntelのCEO(最高経営責任者)であるPat Gelsinger氏は2022年9月、同社がデータセンター向け機器市場において、今後もライバルであるAMDにシェアを奪われていくだろう、との見解を明らかにした。
同氏は、米国EE Timesが録音を入手した「Evercore ISI TMT conference」で、「Intelは、これまで十分に競争を繰り広げてきたが、ここ数年間はあまり振るわず、プロセス技術の面でまだ不十分な点がある」と述べている。
AMD、Zen 4ベースプロセッサで「リーダー的地位を確立」
米国の投資会社Wedbush Securitiesでシニアバイスプレジデントを務めるMatt Bryson氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「苦境にあるIntelのCEOは、『AMDは過去13四半期の間に、サーバ市場におけるシェアを20%まで大きく拡大している』と、ライバルに賛辞を呈した」と述べている。
またBryson氏は、「AMDは、今後数四半期の間に『Zen 4』アーキテクチャベースのCPU『Genoa(開発コード)』と『Bergamo(同)』の発表を予定していることもあり、引き続きデータセンターCPU市場において、既存のIntelに対抗するリーダーとしての地位を維持していくとみられる。その結果、AMDはサーバ市場において、Intelに対し、確固たるリーダー的地位を確立することになるだろう」と述べる。
「Intelが2025〜2026年に、業績を好転させられるかどうかについては、まだよく分からない。それは、同社の社内製造の進捗具合によって大きく左右されることになるだろう。もしIntelがTSMCに追い付き、あるいは追い越すことが可能であれば、初期段階における製造面の遅れを埋め合わせるべく、半導体設計やパッケージングで無理をする必要はない。このような製造上の移行を実際に目にするようになるまでは、Intelが何を実行しようとしているのか、確信を持って述べることは難しい」(Bryson氏)
AMDは、TSMCに製造をアウトソーシングしている。TSMCのプロセス技術は現在、Intelの数世代先を行く。
Gelsinger氏は、「発売予定のプロセッサ『Sapphire Rapids(開発コード)』は、AMDの代替品と比べて性能面で優れているが、圧倒的かつ破壊的なメリットがあるとは言い難く、それほど劇的な差はないといえる」と語っている。
「われわれが前進していくに伴い、当社のデータセンター事業は毎年拡大の一途にある。しかし、2023年を通してシェアは縮小していく見込みだ。2025〜2026年以降、われわれが実質的に市場シェアを取り戻せるようになるまでは、市場の成長についていくことができないだろう」(同氏)
また同氏は、「Intelが今後発表を予定しているプロセッサ『Sierra Forest(開発コード)』は、われわれが市場シェアを取り戻す鍵となるはずだ」と述べる。
Gelsinger氏は、Intelのプロセッサ『Sapphire Rapids』について、これまでに何度も発表が延期され、現在では2023年への延期が決まっていることに触れつつ、「将来的には『Granite Rapids(開発コード)』/『Sierra Forest』プロセッサが、市場シェア拡大をけん引する役割を担うとみている」とも説明している。
Gelsinger氏は、2021年2月にIntelのCEOに就任して以来、米国や欧州において生産能力を拡大するための新たな投資を行う一方、Intelをプロセス技術分野のリーダーとして復活させるための取り組みを進めてきた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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