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コラム

エネルギー貯蔵システムで期待される、使用済み電池既に活用例も多数

太陽光発電や風力発電のような断続的なエネルギー源からエネルギーを貯蔵するための技術的に魅力的でコスト効率に優れた方法を見つけることは大きな課題であるが、ソリューションは数多くある。そのうちの一つが、“引退した”(“使用済み”のえん曲表現)電池パックを使用するというものだ。

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 太陽光発電や風力発電のような断続的なエネルギー源からエネルギーを貯蔵するための、技術的にもコスト効率にも優れた方法を見つけることは大きな課題であるが、ソリューションは数多くある。当然ながら、必要な電気容量や、充電/放電/使用サイクル、物理的な設置場所、コストなど多くの要因によって左右されるため、単一の“最適な”ソリューションはない。ソリューションは貯水や、重力と重量、フライホイール、溶融塩、圧縮ガス、電池などがあるが、もちろん、これらに限定されるわけではない。

 これらの蓄電システム(ESS)には、一風変わった電池の選択肢もある。その一例は、使用済みの電池パックを使用するというものだ。使用済み電池は、通常はさまざまなタイプの自動車やトラックから回収されるが、それ以外の場合もある。


ヨーロッパにおける再利用可能なリチウムイオン電池(アプリケーション別)[クリックで拡大] 出所:Circular Energy Storage

 これらの使用済み電池は、走行寿命を迎えた車や事故車、メーカーやディーラー、個人店舗が修理した中古車から回収される場合が多い。広く用いられている基準では、電池容量が初期容量の80%に低下した時点で、最初の用途を“終えた”と宣告される。

メモ

 筆者は通常、数年以上先の予測は無視するか、どんなに精度が高くとも最低±30%の誤差があると考える。ただし、自動車やトラックに関連するデータに限っては、筆者が個人的に考える誤差の範囲はもっと狭い。これは、現在の数値が非常に正確に知られていて、予測の多くはこれらの数値の“モメンタム”から導き出されていることが十分に理解されているためである。


 これらの電池を既に使用している、または間もなく使用を開始する予定の商業施設は多い。Wall Street Journalの最近の記事では、そのいくつかを紹介している。家庭や小さなビル向けの小規模な構成もあれば、はるかに大きいオフィスや工場、ショッピングモール、近隣地域をサポートするものもある。

 これらの電池の、いわば“セカンドライフ”をESSで利用することは、多くの点で理にかなっている。これらの電池は広く入手可能で、ユーザーは大規模な建設や設置作業が不要で、輸送可能でコンテナ化でき、静かで、可動部品がなく、モジュール式で拡張が可能だ。


ESSは単なるエネルギー貯蔵ユニットではない。設置の仕様や目的に応じて、これらのユニットや、DC-ACインバーターなどの高度な管理が必要となるからだ[クリックで拡大] 出所:Saft/TotalEnergies

 同様に重要なのは、電池パックを管理し、直流エネルギー貯蔵装置を交流送電網のような供給源として利用するための専門知識や標準モジュールが数多く存在することだ。この多くは、電気自動車やその他の大規模電池プロジェクトでの経験の延長線上にある。

無視できない3つの問題も

 しかし、蓄電池の構成には無視できない懸念がある。まず、リチウムベースの電池は体積エネルギー密度が高いことが特長であるが、大規模な構成では、充電/放電/温度などさまざまなパラメータを複雑なマルチレベルで監視することや、フェイルセーフのためのシャットダウン機構、特殊な消火システムが必要になる。

 第2の問題は、設置された時点ですでに20%劣化している電池の耐用年数の延長である。前述の記事によると、二次電池は初期容量の60%に低下するまで有用とされ、それは通常ESSを10〜15年使用した後とされている。もしそうなら、10年ごとに電池を交換する必要がある場合、それは設置の労力と費用を正当化できるほどの期間なのだろうか。

 最後に、電池管理の問題がある。同じ種類の電池であっても、充電/放電のサイクル、温度変化、使用中や保管中の過酷な環境下での扱いなどが異なるため、二次電池はそれぞれ異なる動作特性を持ち、非常に慎重な個別管理と交換サイクルが必要となる。このような大規模な電池の管理は容易ではない。

 しかし、これらの電池に「第二の人生」を与えて再利用するというアイデアは、少なくともいくつかの状況においては明らかに魅力的である(第三の人生のステージはリサイクルだが、これはまた別の機会に述べるとして、複雑な話である)。巨大なクレーンを使って大きな重量物を上げ下げしたり、トラックで傾斜地に水を運んだりするよりも、さまざまなコスト、信頼性、設置面積の点で確かに賢明だろう。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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