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「iPhone 14 Pro」を分解、4nmチップ採用ではAppleが後発に:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(66)(4/4 ページ)
2022年9月に発売されたばかりのApple「iPhone 14 Pro」を分解した。一部の解析結果を紹介する。後半はXiaomiの最新フラグシップ機「Xiaomi 12S Ultra」の分解結果を取り上げ、AppleとXiaomiの2層基板の違いを解説する。
同じ「2層基板」でも、AppleとXiaomiではこれだけ違う
表1は、今回報告した2機種の基板構造の違いをまとめたものである。iPhone 14 Pro、Xiaomi 12S Ultraともに2層基板構造だが、作り方、機能の分け方は全く異なっていることが分かる。
Appleは、面積が大きい下基板(PCB BOTTOM)に5Gモデムチップなどを置き、小さい上基板(PCB TOP)にはA16 Bionicプロセッサや電源IC、ストレージメモリを置いている。プロセッサ基板では表裏を使い(両面実装)、モデム側は片面のみチップが搭載される片面実装になっている。
一方Xiaomiは、下基板(両面実装)にはプロセッサ、通信などほぼ全てが配置されていて、上基板(片面実装)には通信用パワーアンプが配置されている。このように、2層基板構造とひとくちに言っても、機能/デバイスの区分けはまったく別物になっている。
発売された新たなスマートフォンを分解すると、止まることなく技術進化が続いていることが分かる。今後も、プラットフォーム(プロセッサを中心とする)に注目し、解析を行っていく。
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