伝送帯域512Gbpsのオンボード光電気集積モジュール:京セラが発表(2/2 ページ)
京セラは2022年9月29日、512Gビット/秒(bps)の伝送帯域を実現した「オンボード光電気集積モジュール」を開発したと発表した。データセンターのサーバラック内の短距離通信に向けたもので、データセンターの省電力化/高速大容量化/省スペース化に貢献するとしている。
オンボード光電気集積モジュールの詳細
同社が開発したオンボード光電気集積モジュールは、データセンターのサーバラック内の短距離通信向けで、43.5×30×8.1mm(4組の光ファイバーアレイを除く)と、サーバ内のプロセッサ付近に搭載が可能な小型サイズを実現、信号伝送を早い段階で光配線にすることで、省電力で信号伝送が可能になるという。
小型化については、微細配線、低誘電率、多層化に優れる同社の低温焼成形セラミック基板(LTCC)の利用および、制御用マイコンや電源供給用DC-DCコンバーター集積における電気回路の工夫などによって実現したとしている。
モジュールには、光信号と電気信号の変換を担うシリコンフォトニクスデバイス(他社製)を4つ搭載。最大16レーン(1デバイスにつき4レーン)を1つのモジュールでまかなうことができ「PCIe gen5の対応製品において世界初」(同社)とする512Gbps(32GHz×16レーン)の伝送帯域を実現、データセンターの高速大容量化にも貢献するとしている。
消費電力については、16レーンのフル稼働時、実測ベースで約9W(1Gbps当たり18mW)という低消費電力を実現。従来のSFP-DDやOSFP製品と比較し約40%の省電力化が可能という。また、「製品を導入したサーバシステム全体としてはさらに省電力化ができる。トータルでは50%以上の電力消費削減が可能だと見込んでいる」と説明していた。
下図左は、伝送特性の評価結果で、16レーンはいずれも、送信/受信全て良好な伝送波形を取得できている。また、光モジュールの信頼性試験であるTelcordia GR-468-Core準拠の信頼性も確保しているという(下図右)
同モジュールはPCle Gen5をターゲットに開発を進めてきたというが、「32GHzまでの信号であれば、PCle Gen5に限らずさまざまな伝送規格の信号を伝送可能だ」としている。対応アプリケーションについても、CPU-CPU間やCPU-メモリ間、またCPU-スイッチ間などさまざま配線に対応可能。同社は今後さらに8レーンや4レーン、プラガブルタイプの製品などのラインアップ拡充も検討しているという。
なお製品化については、「われわれは性能、特性についてある程度求められるものをイメージして開発しているが、実際に顧客方でどういった技術ポイントが求められるか、実証実験をしながら製品のチューニングを行っていく」と説明。2023年度下期ごろの製品化を目指していくという。
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