Micron、最大1000億ドル投じNY州にメガファブ建設へ:「米国史上最大」の半導体工場に
Micron Technology(以下、Micron)は2022年10月4日(米国時間)、今後20年間で最大1000億米ドルを投じ、米国ニューヨーク州クレイに「米国史上最大」の半導体製造施設(メガファブ:巨大工場)を建設する、と発表した。第1段階投資は200億米ドルで、2020年代末までに実施予定。同社は、「この新メガファブにより、最先端メモリの米国内供給が拡大し、Micronにおける高級職約9000人を含め、同州で約5万人の雇用が創出される」と述べている。
Micron Technology(以下、Micron)は2022年10月4日(米国時間)、今後20年間で最大1000億米ドルを投じ、米国ニューヨーク州クレイに「米国史上最大」の半導体製造施設(メガファブ:巨大工場)を建設する、と発表した。第1段階投資は200億米ドルで、2020年代末までに実施予定。同社は、「この新メガファブにより、最先端メモリの米国内供給が拡大し、Micronにおける高級職約9000人を含め、同州で約5万人の雇用が創出される」と述べている。
2024年に着工、「今後10年間の後半には生産量増加」
Micronは、今回の投資は、CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)成立に続くMicronの最新のステップであり、150億米ドルの投資を行うアイダホ州ボイジーの新工場や、30億米ドルの投資を行うバージニア州マナサスの工場拡張に続く、「米国製の最先端DRAM生産を今後10年間で世界生産の40%まで段階的に増加させるという戦略の一環だ」と説明している。
メガファブは、最終的に60万平方フィート(約5万5700m2)のクリーンルーム4つ(合計約22万2900m2のクリーンルームスペース)を有する施設となる予定。極端紫外線(EUV)リソグラフィーを含む最先端の半導体製造プロセスおよびツールを採用し、「数世代にわたるDRAMの分野で業界をリードしていく」としている。
2023年に準備工事を開始し、2024年に着工、今後10年間の後半には生産量を増加させ、業界の需要動向に合わせながら徐々に生産量を増やしていくという。同社は、「Micronの業界をリードするDRAM生産拠点を米国に置くことは、顧客に多大な利益をもたらし、より強靭で安全、かつ地理的に多様なサプライチェーンを用いて革新的な製品とソリューションを構築することを可能にする」と述べている。
ニューヨーク州史上最大の民間投資
Micronは今回の投資について、「これはニューヨーク州史上最大の民間投資だ」と説明している。建設地の選定理由については、主要な高等教育機関の存在や従来技術職に少なかった人材へのアクセス、退役軍人の雇用を重視する同社の方針に合致する軍人の多い地域であること、などをあげている。また、「長期的な環境目標を達成しながらこの規模のプロジェクトを実現するため、水やクリーンで信頼性の高い電力が利用できることも決め手となった」という。
なお本プロジェクトについて、同社はニューヨーク州から55億米ドルの助成金を受け取る他、予想されるCHIPS法による助成金および税額控除についても「雇用と設備投資の支援に不可欠なものだ」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本政府、Micron広島工場に最大465億円助成
Micron Technology(以下、Micron)は2022年9月30日、最先端1β(ベータ)ノードのDRAMの生産に向けた広島工場(広島県東広島市)の増強について、日本政府から最大約465億円の助成金交付を受ける予定だと発表した。 - サプライチェーン専門家がCHIPS法を分析
IntelとMicron Technology、Samsung Electronics、TSMCはそれぞれ、米国に工場を建設する計画を発表した。これはひとえに、米国内の半導体製造を再構築することを目的としたCHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)によるものだといえる。サプライチェーンの専門家は米国EE Timesに対して、「この取り組みはICの国内供給の確保にとどまらないはずだ」と語っている。 - CHIPS法の補助金500億ドル、分配実施の概要を発表
2022年9月6日(米国時間)、米国商務省は同省やその他の政府機関がどのように「CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)」からの500億米ドルを半導体メーカーや半導体関連のグループに分配するかについて概要を示した。資金提供に関するより詳しい文書は、2023年2月初めに公開される見込みだ。 - Micronのアイダホ新工場が、米国のDRAM供給を向上させる
Micron Technologyが米国で20年ぶりにメモリ工場を建設する計画を発表したことについて、米国の市場調査会社であるIC InsightsのアナリストBrian Matas氏は「半導体製造を米国で行うことは有益だ。CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)は米国の企業が拡張計画を進めるきっかけになった。米国でIC(集積回路)を現地調達できるようになるのは良いことだ」と述べている。 - Micronの2つの設備投資計画は、「理にかなっている」
米国の投資会社であるWedbush Securitiesでシニアバイスプレジデントを務めるMatthew Bryson氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「Micron Technology(以下、Micron)は、この先10年間の後半に米国内で400億米ドルの投資を行う一方、短期的には設備投資費を削減する計画を明らかにしているが、これは非常に理にかなっているといえる」と述べた。 - Micron、今後10年で1500億ドルを投資へ
Micron Technology(以下、Micron)は2021年10月20日(米国時間)、最先端のメモリの研究開発および製造に、今後10年間で1500億米ドル以上を投資する計画だと発表した。米国の工場を拡張する可能性もあるとする。