さらに小さく速くなるフラッシュメモリカード(2002年〜2004年):福田昭のストレージ通信(243) フラッシュメモリと不揮発性メモリの歴史年表(24)(3/3 ページ)
今回は、フラッシュメモリカードの動きを追う。時期は2002年〜2004年である。新しい規格のカードが登場したほか、従来規格のカードがさらに小さくなった。
急速に小型化を進めたSDカード
「SDメモリーカード(SDカード)」では、急速に小型化が進んだ。2000年に発売されてから、3年後の2003年にはサンディスクが小型版である「ミニSDカード(miniSDカード)」を発表する。miniSDカードの外形寸法は横20mm、縦21.5mm、厚さ1.4mmである。SDカードの外形寸法である横24mm、縦32mm、厚さ2.1mmと比べて占有面積が56%と半分近くに縮まった。
SDカードの小型化は当初、規格策定団体である「SDカードアソシエーション(SDA)」の開発戦略では想定していなかった。ところが携帯電話端末メーカーがSDカードの小型化を非常に強く要求したことから、SDAはSDカードを小型したカードの規格を開発したという(参考資料:阪本、「SDカード標準化の歩み」、『映像情報メディア学会誌』、2011年65巻第2号、p.159)。
SDカードとその小型化バージョンの外観。上から「SDカード」「ミニSDカード」「マイクロSDカード」 出所:Original: 毛抜きDerivative work: Tkgd2007, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
携帯電話端末メーカーの小型化に対する強い要求はミニSDカードでも収まらなかった。外形寸法をさらに縮めた「マイクロSD(microSD)カード」を続けて開発することになる。ミニSDカードの開発からわずか2年後のことだ。2004年2月にサンディスクとモトローラが、携帯電話端末向けの超小型フラッシュメモリカード「トランスフラッシュ(TF:TransFlash)」を共同開発したと発表した。このTFカードがそのまま、名称を変更して2005年には「マイクロSD(microSD)」カードとなる。
マイクロSDカード(Transcend製品)を装着したスマートフォン(Huawei U8950D) 出所:Ilya Plekhanov, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
「マイクロSD(microSD)」カードの外形寸法は横11mm、縦15mm、厚さ1.0mmである。占有面積は「ミニSD」カードの38%と大幅に小さくなった。「SD」カードとの比較ではわずか21%、およそ5分の1しかない。もはや「切手サイズ」ではなく、「指の爪サイズ」とでも呼ぶべきだろう。風によって飛ばされたり、誤って床に落としたりすると、紛失しかねないサイズだ。取り扱うときは細心の注意を払いたい。
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- PHS内蔵の情報端末で始まった日本の「スマートフォン」(1996年〜1997年)
今回は、日本で初めてのスマートフォンをご紹介する。具体的には、日本独自の簡易型携帯電話システム「PHS(Personal Handy-phone System)」(当初の呼び名は「ピーエイチエス」、後の呼び名は「ピッチ」)と携帯型情報端末(PDA)を融合したデバイスである。 - 早すぎたスマートフォン「IBM Simon」の詳細(1994年)
前回に続き、IBMが開発した世界で初めてのスマートフォン「IBM Simon Personal Communicator」の詳細をご紹介する。 - NECが試作した世界初のフラッシュ対応携帯型オーディオプレーヤー(1994年)
今回は、NECが試作したフラッシュ対応携帯型オーディオプレーヤーを紹介する。 - (番外編)携帯型オーディオプレーヤーの歴史年表(1979年〜1993年)
今回は番外編として、携帯型オーディオプレーヤー(携帯型音楽プレーヤー)の主な歴史をたどる。 - マスクROMの始まり(1950年代〜1960年代)
今回は、これまでほとんど知られていなかった、マスクROMのルーツが判明したので、その内容をお届けする。 - EPROMの進化とEEPROMの誕生(1970年代)
フラッシュメモリに関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット」で公開されるフラッシュメモリと不揮発性メモリの歴史年表。この歴史年表を過去から順に紹介していく。今回は、1970年代を解説する。