「新しい資本主義」をエンジニア視点で考えてみる:「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(8)(7/9 ページ)
今回は「新しい資本主義」について考えてみます。きっかけは嫁さんの「新しい資本主義って何だろうね」というひと言。これを調べていくと、「令和版所得倍増計画」なるものの実施が絶望的に難しそうであることが明らかになってきました。
「新しい資本主義」をエンジニア視点で見る
ここからは、「成長戦略」に関わる事項で、私の愚痴を聞いて頂きたいと思います。
私、政府主導で成功したイノベーションを知りません ―― 1つも、です*)。
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「(1)科学技術・イノベーション」に関して、研究員の私としては、政府の方々には『黙って金を出せ、そしてその後も黙っていろ』とお願いしたいところです。
ただ、まあ、それはあまりにも勝手な言い分なので、私としては『低レベルのプレゼンを何度もさせるな』『研究内容に関する資料の全てを読みつくし、倒れるほど勉強して、その知識や理解において、わたしたち 研究者を圧倒する程の知見を持って、プレゼンのヒアリングに臨んでこい』 ―― と、まあ、その程度のことは言わせて頂きたいです。
「(2)デジタル地方活性」についても、上記の表で、役人だけでなく、国民に対しても当たり散らしています。特に、マイナンバーカードに関しては、『マイナンバーカードによる、デジタルによる個人情報の流出が怖い』に対しては、『クレジットカードを使っているなら、もう手遅れだ』と申し上げましょう。
というか、これまで、もう何度、カード番号や個人情報、名簿の流出があったか数え切れないほどですが、『自分の情報だけは流出していない』などと、お気楽なことを考えている人がいるように思えます ―― そんなこと、あるわけないじゃないですか。
もし流出していないなら、どうして、マンションや、墓地のセールスの電話が、自宅にかかってくるのでしょうか? 不動産のセースルに至っては、社用のスマホにかかってくるくらいです。そして、流出してしまった個人情報は、もう取り戻せません。ですから、昨今、個人情報は既に第三者の手に渡っているのを前提に行動するのが当然です*)。
*)そういう電話がかかってきたら、「まず、この電話番号を入手したルートを吐け。それと、この件、警察にも一報入れておくぞ」といえば、2回目の電話はありません。
ちなみに、デジタル情報の流出は簡単ですが、同じように、第三者からの不正利用を止めるのも簡単です。システムに、ログインIDとパスワード削除の命令を出せば完了です。もっとも、そこから、全ユーザーに対して、再度のログインIDの再配布と、パスワードの登録要求を出さなければなりませんので面倒ですが、少なくとも「なりすまし」はできなくなります。
「(3)カーボンニュートラル」は、基本的にはCO2を「削減する」ものであり、何かを「生み出す」「作り出す」ものではありません。これは、新しい“世界共通通貨”として認識しなければなりません。つまり、「持っていないという価値」です。
分かりやすい例は、ダイエットでしょうか。美しくダイエットができた人は、男女問わずクールでモテます。そういう人はチヤホヤされて、尊敬され、そのダイエットの努力が評価されます。つまり、国際信用度が爆上がりするわけです。ブクブク太り続けるXX国とは違って、日本国は自分を律することのできる立派な国家だ、という信用が、新しい通貨なのです ―― ただ、この新しい通貨の観念に至るのは、これでなかなか骨なのです。
「(4)経済安全保障」は ―― 各論(エネルギー、インフラの保守、科学技術の漏えい防止、特許の非公開化)は分かりますし、これが安全保障というのも分かるのですが、これは「もうける」というよりは「損しない」という戦略です。もっとも、これらの仕事は重要なので、国内需要になることは理解できます。が、やはり「金のにおいがしない」のです。
―― これで、令和版所得倍増計画できるの? 本当に?
というのが、正直偽らざる気持ちです。
江端:「いっそのこと、『国内または領海内での、石油資源またはレアメタルの試掘を行う』とか言われた方が、分かりやすいのだけどなぁ」
嫁さん:「油脈、鉱脈の発見直後に、隣国(2つの大国)」から侵略される気がするんだけど」
江端:「下手をすると、在日米軍」が、油脈、鉱脈を占拠するかもしれんなー。『同盟国保護』の名目で」
閑話休題。
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