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近畿大ら、機能性セラミックス薄膜複合FPCを開発:機能性部品と柔軟な基板を直接接続
太洋工業と近畿大学の共同研究グループは、「機能性セラミックス薄膜複合フレキシブル基板」を開発したと発表した。用途として、圧電素子やシート状の超音波素子などを想定している。
圧電素子として機能することを確認
太洋工業と近畿大学生物理工学部医用工学科の西川博昭教授による共同研究グループは2022年12月、「機能性セラミックス薄膜複合フレキシブル基板」を開発したと発表した。用途として、圧電素子やシート状の超音波素子などを想定している。
太洋工業は、伸縮やねじれに対応できるフレキシブルプリント配線板(FPC)や、厚みが20μm以下という極薄FPCを開発するなど、基板加工技術で強みを持つ。一方、近畿大学の研究グループは、機能性セラミックス単結晶薄膜を電極とともに転写する独自の技術を保有する。
共同研究グループは今回、機能性セラミックス薄膜とFPCを複合化するプロセス技術を開発した。これによって、FPCに設けた電極上に機能性セラミックス薄膜を直接接合することを可能にした。実験では、フレキシブルPb(Zr, Ti)O3単結晶薄膜とFPCを複合化した。試作したデバイスは柔軟性と強誘電性を示すなど、圧電素子として機能することを確認した。
開発した機能性セラミックス薄膜複合フレキシブル基板については、2023年度中のサンプル出荷を目指す。このため今後は、詳細なスペック調査や最適化などに取り組む計画である。
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