「売上高30%増で日本市場の重要性が増す」、インフィニオン:全12フロアの新オフィスも披露
インフィニオンは2022年11月30日、2022会計年度の業績報告ならびに中長期戦略に関する記者説明会を実施した。
Infineon Technologiesの日本法人であるインフィニオン テクノロジーズ ジャパン(以下、インフィニオン)は2022年11月30日、Infineon Technologiesの2022会計年度(2021年10月〜2022年9月)の業績報告ならびに中長期戦略に関する記者説明会を実施した。
2022会計年度の売上高は前年比で約29%増の142億1800万ユーロ(約2兆円)で過去最高を記録した。好調の理由についてインフィニオン代表取締役社長の川崎郁也氏は「地域問わずに全体的にバランスよく成長した」と語った。製品別の売上高比率はオートモーティブが45%、インダストリアルパワーコントロールが13%、パワー&センサーシステムズが29%、コネクテッド セキュア システムズが13%になっている。
続けて今後の中長期的な方針について同氏は「脱炭素化、デジタル化という2つの大きなトレンドに沿って戦略を立て、EV(電気自動車)やデータセンター、省電力などのトレンドを支えるアプリケーションを中心に提供していく。売上高は年率10%以上、利益率は25%以上の成長を狙っていく」とした上で、「当社が掲げる『2030年までのカーボンニュートラルの実現』はしっかり守っていく」と強調した。
SiCやGaNにも追加投資を決定
事業拡大を支える投資について川崎氏は「ドレスデン(ドイツ)に、Infineonの単一投資としては最高額となる50億ユーロ(約7000億円)を投資し新工場を建設する。これにより300ミリウエハーによるアナログ/ミックスドシグナル/パワー半導体の製造能力を強化する」と説明した。新工場は、ドレスデンの既存工場に隣接する形で建設される。新工場は2023年秋に建設を開始し、2026年秋に生産を開始する予定だ。
また、同氏は「実用段階に近づいているSiC、GaNについてもしっかり準備していく」とした上で、「(ドレスデン工場とは別に)既存の工場にも追加投資を行い、2027年には現在の約10倍の生産能力を目指す。2025年にはフィラッハ工場(オーストリア)の生産能力が10億ユーロ、2027年にはクリムの生産能力が20億ユーロとなり合計で30億ユーロの生産能力になる想定だ」と説明した。
日本市場の重要性を示す
インフィニオンは2022年8月に東京・渋谷に新オフィスを開設した。理由について川崎氏は「2020年に買収したCypress Semiconductorとのシナジーを高め、技術力や品質面でより充実したサポートを提供するためだ」とし、「2022年度の日本国内の売上は前年比29%増の14億1500万ユーロで、グローバルの10%を占めている。自動車や産業機器、民生機器などは国内市場では伸びており、日本市場の重要性が増している」と説明した。同社は渋谷区と連携した日独の技術交流会の開催や、スタートアップ企業への積極的な支援も行っている。
説明会後は報道向けの新オフィス見学会が行われた。新オフィス(全12フロア)には執務エリアやカフェエリアの他、ADAS(先進運転支援システム)技術開発や技術機能、製品開発支援が可能なラボが4フロア設置されている。ラボの一部には、オフィスビルの下を走る地下鉄から発生する磁場の影響を遮断するためのシールドルームも設置されている他、温湿度管理や薬液管理、耐震/停電などの災害対策まで十分な設備を整えている。
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