AMDが開発した第4世代EPYCプロセッサのCXLメモリ拡張:福田昭のデバイス通信(376)(2/2 ページ)
今回は、CXL(Compute Express Link)インタフェースを通じてメモリを拡張する仕組みを説明する。
初のCXL対応システムとなる第4世代EPYCサーバ
ここで少しだけ、CXL(Compute Express Link)について説明しよう。CXLには主に、2つの役割がある。1つは、GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)やFPGA、NIC(ネットワークインタフェースカード)などのアクセラレーターとCPU(マイクロプロセッサ)を高速に接続するインタフェースとしての役割。もう1つは、メモリ領域を拡張するための高速メモリインタフェースとしての役割である。
CXLは物理層としてPCIe Gen5を採用し、3種類の通信プロトコルを備える。通信プロトコルの組み合わせを変えた、「タイプ1」から「タイプ3」までの3種類のデバイス(CPUからCXLを通じて接続する半導体デバイス)がある。「タイプ1」のデバイスは、CPUのメモリにアクセス可能なアクセラレーター回路で、代表的なデバイスは「スマートNIC」だ。「タイプ2」のデバイスは、CPUのメモリにアクセス可能であり、なおかつ独自のメモリを備えるアクセラレーター回路である。代表的なデバイスはGPUやFPAなどだ。
そして「タイプ3」のデバイスは、「メモリバッファ」あるいは「メモリエキスパンダ」と呼ばれる、CPUとメモリやストレージなどの拡張記憶あるいは外部記憶をつなぐコントローラー回路である。第4世代EPYCがサポートするのは、このタイプ3だけだ。
128レーンのPCIe Gen5をベースとする入出力インタフェースの一部をCXLインタフェースとすることで、CXL対応のメモリバッファを介してDDR5タイプはもちろん、DDR4タイプやLPDDR4タイプなどのDRAMにも第4世代EPYCプロセッサがアクセス可能になる。メモリシステムの柔軟性が大幅に高まる。
CXL対応の順番が逆転したAMDサーバとIntelサーバ
なお、CXL対応メモリのサーバシステムを構築できるプロセッサは、AMDの「EPYC 9004シリーズ」が初めてとみられる。本来であれば最初にCXLをサポートするのはIntelのサーバ用次世代プロセッサ(開発コード名「Sapphire Rapids(サファイアラピッズ)」)のはずだった。当初の予定では2022年前半に製品がリリースされるはずであり、AMDの「EPYC 9004シリーズ」よりも早かった。
しかし実際には2回にわたって製品発表をIntelは延期した。11月9日にようやく、2023年(来年)1月に製品を正式に発表するとともに、HBM搭載品の製品名が「Xeon MAX」シリーズであることを明らかにした。
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