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TDK、生え抜きのドイツ人新CSOが語る市場戦略:electronica 2022(3/3 ページ)
TDKの執行役員で電子部品ビジネスカンパニーCSO(最高営業責任者)を務めるLudger Trockel氏が取材に応じ、同社の重点市場および営業戦略などについて説明した。
22年2Qは過去最高を記録、今後の見通しは
同社は2023年3月期(2022年度)第2四半期、自動車、産業機械市場向けを中心に全市場で販売が増加し、売上高は前年同期比29.0%増の6115億円、営業利益は同50.5%増の757億円、純利益は同32.5%増の555億円と、いずれも過去最高を記録。Trockel氏は、「為替影響が大きかったものの、それを差し引いても、非常に良い結果だった」と振り返った。
一方で、急速に進む世界的なインフレや地政学的リスクなどの足元の状況を踏まえ、次期の業績に関しては、「現在の状況や市場環境を鑑みると、次期の見通しは、もう少し緩やかなものになるだろう。地政学的な状況によっては、悪化するリスクもある」と言及。ただ、「われわれの製品はエレクトロニクス市場で非常に有利な地位を占めており、状況が好転すれば、多くの可能性があるといえる」とも付け加えた。
なお、長引く世界的半導体不足の影響に関しては、「半導体が不足すれば、顧客の生産が減る。現在、半導体不足は多少改善されてきたが、いくつかの製品は依然、供給面がタイトなままだ。われわれは顧客と密接に連絡を取りニーズを把握し部品の供給を進めているが、全体的には半導体不足の影響がないとはいえない」と説明。ただし、「インフレや地政学的な問題といった他の要因もあり、半導体不足のみによる影響がどれほどかについては明確には言えない」と述べていた。
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