NXP、28nm RFCMOSワンチップレーダーSoCを発表:次世代ADAS、自動運転システム向け
NXP Semiconductorsは、28nm技術を用いたRFCMOSワンチップレーダーSoC「SAF85xx」を発表した。前世代製品と比べRF性能を2倍に、演算性能を最大40%向上させた。次世代ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムなどに用いるレーザーセンサー用途に向ける。
前世代品に比べRF性能は2倍、演算性能は最大40%向上
NXP Semiconductorsは2023年1月12日、28nm技術を用いたRFCMOSワンチップレーダーSoC(System on Chip)「SAF85xx」を発表した。前世代製品と比べRF性能を2倍に、演算性能を最大40%向上させた。次世代ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムなどに用いるレーザーセンサー用途に向ける。
同社はこれまで、レーダートランシーバーICとレーダーMCUを別チップの形で供給しており、顧客はこれらを組み合わせて、レーザーセンサーモジュールにする必要があった。同社にとって第3世代のRFCMOSレーダーICとなるSAF85xxは、高い性能を備えたレーダートランシーバーとS32Rレーダープロセッサを1チップに集積した製品である。
自動運転への対応などにより、車載レーダーも急速に進化しているという。センシングする領域は従来の「フロント」や「リアコーナー」だけでなく、「フロントコーナー」や「リア」「サイド」など、全方位(360度)をセンシングする必要が出てきた。このため、自動車に搭載するセンサー数が増加し、複数の入力情報を高速に処理する必要がある。センサー自体もより遠くの物体を、より高い解像度で検出することが求められているという。
SAF85xxは、こうした市場のニーズに対応した。レーダートランシーバーは、出力が15dBm、雑音指数は10.5dBで、RFリンクバジェットは第2世代品に比べ2倍となり、コーナーレーダーで200m以上、フロントレーダーで300m以上という検出レンジをカバーする。
レーダープロセッサはArmアーキテクチャを新たに採用した。第2世代製品はパワーPCアーキテクチャを採用しており、こうした変更もあって演算性能は最大40%向上したという。また、4Tx/4Rxアンテナをサポートする。従来の3Txシステムに比べ、高い解像度を実現できる。高度な4Dセンシングも可能となる。
SAF85xxはセンサーモジュールの小型化にも貢献する。同社のパートナーであるsmartmicroがSAF85xxを用いて開発したセンサーモジュールは、外形寸法が5×5cmである。これは前世代品を搭載したモジュールに比べ、30%も小型化できたという。
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