2022年の半導体購入額、上位10社の合計は7.6%減:増額はSamsung、ソニーのみ
ガートナージャパンは2023年2月6日、主要電子機器メーカーによる2022年の半導体消費に関する調査結果(速報値)を発表した。それによると、上位10社の半導体購入額は前年比7.6%減になったという。
米国の市場調査会社Gartnerの日本法人ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2023年2月6日、主要電子機器メーカーによる2022年の半導体消費に関する調査結果(速報値)を発表した。それによると、上位10社の半導体購入額は前年比7.6%減になったという。同社は、「2022年は世界的なインフレや景気後退などの影響によりPC/スマートフォンの需要が急激に弱まった結果、主要電子機器メーカーの生産が減少した」と述べている。
PC/スマホ需要の減退、メモリ価格下落が影響
上位10社の半導体購入企業の多くは、PC/スマホの主要メーカーだ。2022年の上位10社の顔ぶれは2021年と同じで、AppleとSamsung Electronics(以下、Samsung)もそれぞれ1位、2位の座を維持した。ただし、上位10社中、半導体消費が前年比で増加したのはSamsungとソニーグループ(以下、ソニー)の2社のみで、この結果、上位10社の世界半導体消費全体におけるシェアは37.2%となった。
2022年 順位 |
2021年 順位 |
メーカー名 | 2022年 | 2022年 シェア |
2021年 | 成長率 (2021年比) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | Apple | 67,056 | 11.1% | 68,851 | ▼2.6% |
2 | 2 | Samsung Electronics | 46,065 | 7.7% | 45,091 | 2.2% |
3 | 3 | Lenovo | 21,031 | 3.5% | 25,410 | ▼17.2% |
4 | 5 | Dell Technologies | 18,304 | 3.0% | 20,977 | ▼12.7% |
5 | 4 | BBK Electronics | 18,082 | 3.0% | 21,810 | ▼17.1% |
6 | 6 | Xiaomi | 14,602 | 2.4% | 16,465 | ▼11.3% |
7 | 7 | Huawei | 12,075 | 2.0% | 14,977 | ▼19.4% |
8 | 8 | HP | 11,291 | 1.9% | 13,927 | ▼18.9% |
9 | 10 | ソニーグループ | 7,975 | 1.3% | 6,847 | 16.5% |
10 | 9 | Hon Hai Precision | 7,531 | 1.3% | 8,028 | ▼6.2% |
― | ― | その他 | 377,680 | 62.8% | 352,568 | 7.1% |
合計 | 601,694 | 100% | 594,952 | 1.1% | ||
出所:Gartner |
ガートナーのアナリストでシニアディレクターの山地正恒氏はリリースで、「PC/スマホの消費者需要が急激に落ち込んだ結果、主要電子機器メーカーは生産台数および出荷台数を増やすことができなかった」と説明している。
また、中国のゼロコロナ政策がもたらした電子機器サプライチェーンでの深刻な材料不足と短期的な混乱や、半導体不足が長引く自動車/ネットワーク/産業用電子機器市場において、半導体の平均単価が上がり半導体収益が増加したことを要因に、「2022年の半導体消費全体に占める上位10社の半導体消費シェアは、2021年よりも減少した」(山地氏)としている。
2022年の半導体売上高の約25%を占めるメモリは、需要が低迷する中で2022年後半に価格が急落、デバイス別で見ると最も成長率が低い10%の減収となった。山地氏は、「上位10社の主要電子機器メーカーがメモリ支出の49.2%を占めているため、メモリ支出額が大幅に減少した」とコメントしている。
Samsungは折りたたみ式スマホ、ソニーはPS5好調
4年連続でトップとなったAppleは前年比で2.6%減となった。同社は自社設計のアプリケーションプロセッサへの継続的な移行により、MPUへの支出が前年比11.7%減となったものの、メモリ以外の半導体全体への支出は2.8%増加させていた。
一方、2位のSamsungは、前年比2.2%増となった。折りたたみ式スマホが好調だった他、中国のゼロコロナ政策が競合に影響を及ぼしたことで、世界のスマホ市場でシェアを拡大したことが要因だという。
また、ソニーは、「PlayStation 5」の旺盛な需要が世界的に継続したことから、2022年の半導体消費の成長率は16.5%と、対前年比で最も高くなった。ただ、ガートナーは、「年間を通じ半導体不足と物流網の混乱が続いたため、需要に見合う生産量を上げることができなかった」とも述べている。
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