TIがユタ州リーハイに300mm対応工場を新設へ:過去最大規模の110億ドルを投資
Texas Instruments(TI)は、過去最大規模となる110億米ドルを投じて、ユタ州リーハイの300mm対応工場を拡張する。
Texas Instruments(TI)は2023年2月15日(米国時間)、300mmウエハー工場を米国ユタ州リーハイに建設する計画を発表した。過去最大規模となる110億米ドルを投資する。この新工場は、TIの既存の300mmウエハー工場(Micron Technologyから買収した工場)である「LFAB」に隣接して建設される。新工場の完成後は、これら2つの工場は単一の製造施設として稼働するという。
新工場の建設は2023年下半期に着工予定で、2026年初頭の生産開始を見込む。TIの既存の300mmウエハー工場は、「DMOS6」(テキサス州ダラス)、「RFAB1」と「RFAB2」(テキサス州リチャードソン)、LFABで、新工場はこれらの生産能力を補完するものとなる。加えてTIは、テキサス州シャーマンにも300mmウエハー工場を建設中だ。
リーハイ工場の拡張により、TI社内では800人、間接的には数千の新たな雇用が創出されるとする。さらにTIは今後、ユタ州のアルパイン学区とのパートナーシップを強化し、学生の機会や成果を向上すべく900万米ドルを投資する予定だ。
TIのエグゼクティブバイスプレジデント兼COO(Chief Operation Officer)で次期社長兼CEO(Chief Executive Officer)のHaviv Ilan氏はリリースで「新工場は当社の長期的な300mmウエハー製造ロードマップの一環として、今後数十年にわたってお客さまの需要を満たすキャパシティーを構築していくためのものだ。エレクトロニクス分野、特に産業用および車載市場で半導体事業の成長が見込まれており、CHIPS法(CHIPS and Science Act)案が成立した今は社内製造能力へのさらなる投資を行う絶好のタイミングと言える」とコメントしている。
TIは2023年1月に2022年通期の決算を発表。売上高は200億2800万米ドルで、営業利益は101億4000万米ドルだった。
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