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1日1回の外出は2000円の価値? 「孤独」がもたらす損失を試算してみる「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(11)(6/9 ページ)

今回は、「移動」と「ウェルビーイング」を解析した論文を読み解いてみました。そこで得た結論は、「孤独を回避して幸せになりたいのなら、毎日外へ出ろ」というものです。

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「人間関係は、金になる」

 では次に、「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」についてお話をしたいと思います。

 ソーシャルキャピタルとは ―― 江端風に、身もふたもなく言えば、「人間関係は、金になる」です。もう少しオブラートに包んで言うのであれば「人間関係は、社会活動の資本金としてアカウントできる」です。

 「金になる」といっても、このソーシャルキャピタルは、換金できないし、譲渡もできませんが、幸福(ウェルビーイング)という名の、あなた専用口座にお金を積立てていくことができる、概念上の債券といえるかもしれません。これから、その話をしましょう。

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 ソーシャルキャピタルとは、「人間関係のネットワークで、そのネットワークの構成員は信用ができて、必要ならセーフネットとして機能する」というものです ―― 信頼のできる人間関係からなるネットワークは、十分に金銭的価値がある、といっても良いでしょう。

 ソーシャルキャピタルは、非日常的なアクシデント(大地震や火事などの災害)発生時に、その価値を発揮することが多いです。それ以外でも、「子どもが安全に遊べる街」や「不審者が侵入しにくいような街」は、いくらお金を払ってでも、引っ越しをしてきたいという人がいるはずです。

 そういう意味では、ソーシャルキャピタルがしっかりしている街は、不動産価値が高いと言えます ―― で、実際不動産業界は、このソーシャルキャピタルを、なんとか作り出そうとして、地域の自治体との連携を深めています(本当)。

 以下の図は、地域社会への積極的な参加によって、ソーシャルキャピタルが熟成されている、という研究結果です。

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 もっとも、「そういう近所の付き合いが煩わしい」という人もいます。そのような人にとっては、地域社会への参加は、ソーシャルキャピタルを減少させる結果ともなるので、この取扱いは、なかなかに難しいのです(個人的には、ITの活用で、解決する部分は多いと思うのですが*))。

*)関連記事:「デジタル時代の敬老精神 〜シニア活用の心構えとは

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