Infineonが語る、GaN Systems買収の狙い:「業界最強」の研究開発体制を構築(1/2 ページ)
Infineon Technologiesは2023年3月3日(ドイツ時間)、同月2日に発表したGaN Systems買収に関する説明会を実施し、同社幹部が買収の狙いおよびGaN(窒化ガリウム)市場の展望などを語った。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2023年3月3日(ドイツ時間)、同月2日に発表したGaN Systems買収に関する説明会を実施し、同社のパワー&センサーシステムズ(PSS)事業本部プレジデント、Adam White氏らが、買収の狙いおよびGaN(窒化ガリウム)市場の展望などを語った。
年平均成長率は56%、「最も高い成長」示すGaN市場
White氏は、まず、GaNの市場規模および成長率について説明した。フランスの市場調査会社Yole Groupによると、パワーアプリケーション向けGaNデバイス市場は2022年から2027年まで年平均成長率(CAGR)56%と急速に拡大し、2027年には20億米ドル規模の市場にまで成長。今後5年間で60億米ドル以上の累計市場ポテンシャルを有しているという。
White氏は、シリコン、SiC(炭化ケイ素)とGaNとの比較図(左下)を示したうえで、「GaNはまだ若い市場だが、今後最も高い成長率を示している。GaNの主要な特長はその優れたスイッチング性能だ。高い電力効率を実現し、コンパクトなフォームファクターでシステムコストを低減できる。GaN市場は明らかに加速し、いくつかの主要アプリケーションはその転換点に達したか、近づきつつある」と説明。ノートPCなどの充電器やアダプター、太陽光発電設備やサーバの電源、自動車のオンボードチャージャー(OBC)をその例として挙げた。White氏は、「GaNは、2030年までにInfineonのコアポートフォリオアプリケーションの一部で主流になることが予想される。そのため、自分たちのポジションを確立することが重要なのは明らかだ」と強調した。
パッケージなどに特化したIP獲得
GaN Systemsは2008年にカナダ、オタワで設立したGaNパワーデバイス専門メーカーだ。サーバ、通信、車載、産業、民生市場に注力し、売上高は数千万米ドル前半の規模。カナダ、米国、台湾、日本に研究開発(R&D)拠点を置き、従業員は200人以上でそのほとんどがエンジニアリングの背景を持っているという。同社は、パッケージなどに特化したIP(Intellectual Property)群を有し、完全内蔵型パワーダイパッケージを中心に幅広いデバイス/パッケージをラインアップしている。InfineonのPSS事業本部CFO(最高財務責任者)、Ulrich Pelzer氏は、「GaN SystemsはGaN市場におけるリーディングプレイヤーの1社だ。今回の買収で補完性の高い強みが結集され、『GaN市場における勝利の方程式』が生み出されることになる」と述べた。
買収による補完関係について、Pelzer氏は、「GaNトランジスタは、コモディティ化し入手が容易なシリコンウエハー上のエピタキシャルプロセスで成長するため、競争上の差別化は基材供給に依存しない」としたうえで、「Infineonは、エピタキシーとフロントエンドデバイスプロセス関連で重要なIPを備えている。そこにGaN Systemsの製品およびパッケージングが加わるのだ」と説明。さらに、「GaNのメリットをシステムレベルで享受するためには、特定のトポロジーとパッケージが必要だ。InfineonにGaN Systemsの専門知識が加わることで、ロジック機能のモノリシックな統合をはじめ、革新的なソリューションの創造が加速されるだろう」と強調した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.