ZEISS、DUV露光装置用光学部品の新工場を建設開始:2025年に完成予定
ZEISS SMTは2023年3月29日、ドイツ・ヘッセン州ヴェツラー拠点において、DUVリソグラフィ装置用光学部品の新工場の建設を開始した。2025年の完成を予定しているという。
半導体露光装置用の光学部品を製造するCarl Zeiss Semiconductor Manufacturing Technologyは(以下、ZEISS SMT)は2023年3月29日(ドイツ時間)、ドイツ・ヘッセン州ヴェツラー拠点において、DUV(深紫外線)リソグラフィ装置用光学部品の新工場の建設を開始した。2025年の完成を予定しているという。
ZEISS SMTは、ドイツの大手光学機器メーカーCarl Zeissの子会社で、半導体露光装置用の光学部品およびフォトマスクシステムとプロセス制御ソリューションを手掛けている。光学部品はオランダの半導体露光装置メーカーASMLに提供していて、ZEISS SMTは、「世界のマイクロチップの80%以上は、当社の光学部品を使って製造されている」としている。
ZEISS SMTのヴェツラー拠点では、20年以上にわたりDUVリソグラフィ装置用光学部品の製造を行っているというが、同社は今回の発表の中で、インダストリー4.0、クルマの自動運転、5G(第5世代移動通信)といったメガトレンドによって半導体製造装置に対する需要が高まっていることに触れたうえで、「既存の製造能力は限界に達している」と、新工場建設による拠点拡張の背景を説明している。新工場の生産エリアは総面積1万2000m2超となり、追加で150人の雇用が生まれる予定だという。同拠点では、最新のDUVリソグラフィ装置用光学部品の製造および開発を行うとしている。
なお、同社は2023年3月22日にもドイツ・ヘッセン州ロスドルフ拠点で研究開発拠点を拡張すると発表。2026年末までに2000万ユーロ以上を投資する予定としている。同拠点では主にナノ構造化の研究を行い、フォトマスクの欠陥をナノメートルの精度で修復するシステムを開発している。
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