GMとGlobalFoundries、半導体不足対応で協定締結:同種の提携、自動車業界で今後増加?(2/2 ページ)
GMとGlobalFoundriesは2023年2月、GFがGMの主要サプライヤー向けに半導体を製造するという協定を結んだ。自動車業界で半導体不足が長引く中、同様のパートナーシップが今後増加することが予測されている。
高まるリスク、レガシー工場に依存する自動車業界
自動車メーカーは、180nmプロセスのMCUから90nm/55nmプロセスの車載用半導体まで、成熟技術を用いる半導体工場に依存している。これらはアップグレードが困難な工場で、レガシーな200mmウエハーを使用して製造されているが、200mmウエハー用の製造装置は入手できないことも多くなっている。
Burkacky氏は、「実際に300mm対応のツールを200mm対応に改造する場合もある。これは少し乱暴なやり方だが、そのように対応している企業はある」と述べている。
McKinseyの最近の報告書によると、ほとんどの成熟した工場では、同じ装置や機器が20年以上稼働しているため、頻繁な故障や生産損失のリスクが高まっているという。ある事例では、ツールレベルの分析によって、工場のウエハー生産量が本来の生産能力を43%下回っていることが明らかになった。
古い工場の運営者は、効率の向上よりもコストの削減を優先する傾向がある。McKinseyの報告書によると、車載用半導体のニーズが急増している中で、短期的な支出の抑制よりも生産能力の最大化に焦点を当てた、より積極的で体系的なアプローチが必要な時が来ているという。
Khouri氏は、「成熟した工場の運営者が新しい施設を開設するのは難しい。レガシーテクノロジーの運用に慣れていて、減価償却資産で運用しているのに、新しい資産と新しい建物を購入しなくてはならない。まったく新しい資産で運用することになるため、特定のテクノロジーのコストが突然2倍や3倍になり、投資を回収しなくてはならなくなる」と述べる。
McKinseyは報告書の中で、「自動車の高度化や電動化、自動化が進むにつれ、搭載される半導体はさらに増えると予想される。その結果、現在の車載用半導体の不足がますます深刻化し、自動車メーカーの生産がさらに減速する可能性がある」と警告している。
Burkacky氏によると、地域の半導体生産を復活させることを目的とした政府からの補助金も、将来的に車載用半導体の不足を悪化させる可能性があるという。
同氏は、「補助金の多くが最先端技術に投入され、自動車や産業に必要な成熟したプロセスノードが支援の対象から除外されている場合、問題が生じるだろう」と指摘している。
パートナーシップ増加に前向きなGlobalFoundries
Khouri氏は、「GlobalFoundriesは、GMと締結したようなパートナーシップを増やすことに前向きだ。われわれはこれを“‘first of a kind(この種の最初の例)”と呼んでいるが、間違いなくこれが最後とはならない。自動車メーカーとこうしたビジネスモデルを構築することは独占的な関係ではないし、自動車分野に限定されるものでもない」と述べている。
「GlobalFoundriesは、過去2年間、自動車分野向けサービスを提供するため多大な努力をしてきた。それは私の業務であり、エンドカスタマーのために半導体不足を確実に解消することだった」(同氏)
Khouri氏は、「2019年、GlobalFoundriesの自動車向け売上高は1億米ドル弱だったが、2023年には約10億米ドルに急増するだろう」と述べている。
「これは、自動車用に投入できた生産能力に直接関係している。GlobalFoundriesは売上高80億米ドル規模の企業で、そのうち自動車向けの売上高が10億米ドル弱になる。これは、われわれがどの程度の位置にいるのかを示すものだ」(同氏)
Khouri氏によると、GMの使用する半導体全てがGlobalFoundriesで作られるわけではない。
「12nmプロセス以下など、われわれでは対応できない技術もある。GMの自動車に搭載される他の半導体ソリューションについてはコメントできないが、特定の機能に使用される高度なプロセスノードが(別に)あるはずだ」(同氏)
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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