書き込み寿命が約2倍、データセンター向けSSD:TCOの低減に貢献
Swissbitは2023年4月5日、データセンター向けSSD「U.3 SSD N4200」を発表した。N4200は、書き込み寿命が従来品の約2倍で、製品寿命までのライフサイクル全体を通しての速度低下も最小限に抑えている。
Swissbit(スイスビット)は、「第26回 組込み/エッジ コンピューティング展」(2023年4月5日〜7日/東京ビッグサイト)に出展し、2023年4月5日に発表したデータセンター向けSSD「U.3 SSD N4200」を展示した。
N4200は、標準的なデータセンター向けSSDと比べて、製品寿命までのライフサイクル全体を通して処理速度低下を最小限に抑え、約2倍の書き込み寿命を実現した。ストレージ容量は8Tバイトと16Tバイトがあり、既に量産/販売を開始している。
データセンターで使用される汎用型SSDは、処理性能のピークパフォーマンスが良いものが選ばれる傾向がある。一方で、従来使用されている汎用型SSDは、性能劣化が早く、数十日から数カ月でパフォーマンスが50〜75%低下するものもある。そのため、「SSDの入れ替え作業が早いサイクルで発生している」(同社)という。
スイスビットは、データセンター向けSSDを提供している米Burlywoodと共同で、SSDコントローラー向けファームウェアを開発した。N4200は、同ファームウェアを使用し、データセンターのアクセス負荷に最適化することで、書き込み寿命の長期化に成功した。同社が行ったSSDの書き込み寿命までのパフォーマンス計測では、従来のSSDが250回書き込んだ時点で、出荷時の75%以下のパフォーマンスになるのに対し、N4200は、90%近い水準を維持できることが示された。
同社は、利用者のシステムに合わせてSSDのパフォーマンスを最大化、最適化するためのサービスもオプションで提供している。利用者が実際に使用中のシステムでN4200のテストサンプルを使い、ワークロードを測定/分析して、特定のアプリケーション向けにカスタマイズする。テストからカスタマイズ、納品までは約1〜2カ月ほどだ。
スイスビットは、スイスに本社を構える産業向けストレージや組み込みIoT(モノのインターネット)ソリューションを提供する独立系メーカーだ。日本法人スイスビットジャパンの代表取締役を務める友森健一郎氏は、「ストレージ製品は、台湾で組み立てやテストを行うことが多い。しかし、スイスビットは、ドイツの自社工場で99.9%を製造しているので、地政学的なリスクを避けることができる」と説明した。同社は、「総費用(TCO:Total Cost of Ownership)の低減」を重要視し、製品単価そのものよりもパフォーマンスやカスタマイズ性能を高め、長く使える製品の提供を目指している。
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