ディスコは22年度も増収増益、3年連続で過去最高更新:パワー向け好調がけん引
ディスコの2022年度通期の決算は、売上高が前年度比12.0%増の2841億円、営業利益も同20.7%増の1104億円と増収増益で、3年連続で過去最高を更新した。パワー半導体向けの好調などがけん引した。
ディスコは2023年4月20日、2023年3月期(2022年度)通期の決算を発表した。売上高は2841億円で、前年度(2021年3月期)の2537億円に対し12.0%増と成長し、過去最高を記録した。営業利益も1104億円(前年度は915億円)、営業利益率も38.9%(前年度は36.1%)となり、いずれも過去最高となった。
営業利益は初の1000億円越え
2022年度は、スマートフォンやPCなどの最終製品需要の減退によって量産用途向け(OSAT、メモリなど)が減少する一方、電気自動車(EV)シフトや脱炭素化の進展を背景としたパワー半導体向けは強い需要が継続した。さらに半導体メーカーの研究開発(R&D)用途の需要も底堅く推移。装置検収も進捗し、売上高は過去最高になった。GP率(収益性)も過去最高の64.9%と前年度(60.7%)から大幅に上昇。「顧客への付加価値提案や原価低減を継続したことに加え、為替が円安に振れたことによる恩恵が大きく影響している」(同社)といい、結果、営業利益は初めて1000億円越えを記録した。売上高や各利益は3年連続で過去最高を更新しているという。
2022年度第4四半期(2023年1〜3月)でみると、売上高は前年同期比7.5%増の790億円、営業利益は同10.7%増の312億円、純利益は同24.0%増の256億円とそれぞれ成長している。
市場動向と連動性が高い出荷額を見ると、2022年度第4四半期は前年比709億円となった。前四半期から引き続きパワー半導体やウエハー向けを中心に高水準の装置出荷となった一方、消耗品である精密加工ツールの出荷が減少。同社は、「もともと季節性により消耗品需要が低調な時期な他、PCやスマホなど最終製品需要が鈍化していることも消耗品の出荷水準低下につながった」と説明した。
2023年度1Qは、量産用途び低迷影響を見込む
同社は、2023年度第1四半期(2023年4〜6月)の業績予測も発表。売上高は533億円、営業利益は165億円と前四半期比で減収減益を見込む。同社は、「2022年度第4四半期に想定より検収が進捗したこと、検収タイミングが読みにくいこと、想定為替レートを円高(1米ドル=120円)で見積もっていること」を要因として挙げた。
出荷額見通しについても622億円と前期比約12%減を見込む。パワー半導体向けは引き続き高水準の出荷を見込むものの、量産用途の装置需要が足元でも低調であること、想定為替レートを円高に見積もっていることなどが要因としている。なお、仮に為替を現在の水準でフラットに推移した場合で見積もると、前期比では約7%減となるという。
同社は、「唯一、クルマ向けは底堅いが、スマホ、PCおよびサーバといった最終製品需要の弱さを反映する形になっている。当社の製品群の中でも量産用途向けの特にブレードダイサーやレーザーソーがまだ下降のトレンドに入っている。それでもこれだけの減少幅に収まっているのは、パワー半導体向けが2023年度第1四半期も引き続き高水準を維持すると見ているからだ。また、ウエハメーカー向けのグラインダーや一部の研究開発用途でも底堅さが残っている」と説明していた。
なお、中国に対する半導体製造装置の輸出規制強化の動きについては、同社は後工程向け製品を扱うことから、「直接の規制対象にはなっていない。2023年度第1四半期を見ても、中国向けが極端に減っていくような動きはなく、比較的需要は底堅い。また、中国では最先端ノードの製品ばかり作っている訳ではなく、むしろパワー半導体、あるいはウエハーメーカーの投資で強い需要が継続している。当社から見て、直接の影響は確認できていない」と述べていた。
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