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パワー半導体市場、2035年には13兆4302億円規模にSiCパワー半導体が市場をけん引

富士経済が2022年4月に発表した次世代パワー半導体とSiパワー半導体の世界市場の調査によると、パワー半導体市場は自動車/電装分野にけん引され、2035年には2022年比5.0倍の13兆4302億円規模に達するという。

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 富士経済は2022年4月10日、SiC(炭化ケイ素)などの次世代パワー半導体とSi(シリコン)パワー半導体の世界市場を調査結果を発表した。同社の予測では、パワー半導体市場は自動車/電装分野にけん引され、2035年には2022年比5.0倍の13兆4302億円規模に達するという。

次世代パワー半導体市場、35年に5兆円を突破へ

 今回の調査は、SiCやGaN(窒化ガリウム)、Ga2O3(酸化ガリウム)、ダイヤモンドを用いた次世代パワー半導体と、Siパワー半導体を対象とした。また、パワー半導体関連の構成部材や製造装置市場についても調べた。調査期間は2022年11月から2023年2月。

 富士経済によると、Siパワー半導体は2022年、自動車/電装分野の需要増加に加え、情報通信機器や産業分野の需要も堅調に推移し市場が拡大。民生機器分野では需要の落ち着きがみられるものの、自動車/電装分野が引き続き市場をけん引し、2023年には2022年比11.0%増の2兆7833億円に、2035年には同3.2倍の7兆9817億円規模にまで成長する見込みという。

 次世代パワー半導体は2022年、SiCパワー半導体が大きく伸びたほか、GaNパワー半導体の需要も堅調で、前年比2.2倍の成長をみせた。今後も引き続き高い成長率で市場が拡大することが予想され、2023年には2022年比34.5%増の2354億円に、2035年には同31.1倍の5兆4485億円にまで拡大することを見込んでいる。

パワー半導体の世界市場予測(クリックで拡大) 出典:富士経済
パワー半導体の世界市場予測(クリックで拡大) 出典:富士経済

SiCパワー半導体単体でも5兆円超の市場規模に

 富士経済は、次世代パワー半導体それぞれの市場展望にも言及している。

 SiCパワー半導体は、SiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)、SiC-FET、SiCパワーモジュールが対象で、中国や欧州を中心に急速に採用が進み市場が拡大しているという。2022年は、データセンターのサーバ電源などの情報通信機器分野や太陽光発電などのエネルギー分野の需要増加に加え、充電スタンド、電動自動車(EV)のトラクションインバーターをはじめとする自動車/電装分野が好調で市場が大きく伸びた。富士経済は、同市場が2023年も引き続き成長を続け、2022年比34.3%増の2293億円規模になると予測している。

 その後も再生可能エネルギーの普及や自動車の電動化の進展に加え、設備投資による生産能力の増強やウエハーの大口径化、加工技術の向上などによる低価格化の進行によってEVのトラクションインバーターでSiCパワーモジュール採用が本格化し、2035年には2022年比31.2倍の5兆3300億円にまで市場が拡大すると見込んでいる。

 GaNパワー半導体市場は、ACアダプターなどの高速充電やデータセンターのサーバ電源で採用が進み、2023年には2022年比32.6%増の57億円になる見込み。今後もこれらのアプリケーションを中心に市場が拡大するほか、オンボードチャージャーやDC-DCコンバーターなどEVの補機系での採用拡大も見込まれることから、2035年には同17.2倍の740億円にまで市場が成長すること見込みだ。

 Ga2O3パワー半導体は、SBDの量産が開始予定であり、2023年の市場は4億円規模となる見込み。また、2025年頃にはFETの実用化も予定されていることから、SiやSiCパワー半導体の置き換えが進むことが期待され、民生や情報通信分野を中心に市場が拡大する見込み。中長期的には産業やエネルギー分野、将来的には自動車/電装分野への展開も予測され、2035年には445億円規模にまで成長することを予測している。

市場好調も構成材料は生産能力、製造装置は部材調達難で減速

 この他、パワー半導体関連の構成材料市場は2022年、ウエハー、前工程材料、後工程材料の需要が増加し、前年比30.9%増の2711億円となった。2023年も引き続き市場は拡大するものの、部材メーカー各社の生産能力に限界があることから伸びは鈍化し、2022年比11.5%増の3023億円になる見込み。富士経済は、「今後は自動車/電装分野の需要増加やSiCパワー半導体の伸びに伴うシンタリング接合材や窒化ケイ素回路基板などの採用増加が市場拡大に寄与するとみられる」と説明。2035年には2022年比4.4倍の1兆2020億円にまで成長すると予測している。

 製造装置市場は2022年、中国を中心とした海外パワー半導体メーカーの積極的な設備投資により、前年比39.3%増と大きく伸長。部材の調達難による納期の長期化などから、市場の伸びは減速するものの、中国をはじめとする海外の積極的な設備投資に加え、SiCウエハーの8インチ対応ニーズ増などから、2023年以降も市場は拡大する見込み。2023年には2022年比21.4%増の4124億円、2035年には同2.4倍の8180億円になると予測している。

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