TED、半導体や電子デバイス事業が好調で増収増益:2023年3月期通期決算
東京エレクトロン デバイス(TED)の2023年3月期通期業績は、売上高が前年比33.6%増の2403億5000万円。営業利益が同75.0%増の142億2700万。当期純利益が同72.6%増の87億7800万円と増収増益となった。
東京エレクトロン デバイスは2023年4月28日、2023年3月期(2022年4月〜2023年3月)通期業績を発表した。2023年3月期通期の売上高は、前年比33.6%増の2403億5000万円。営業利益は、同75.0%増の142億2700万円。当期純利益は、同72.6%増の87億7800万円で、増収増益となった。
増収増益の理由について、同社副社長の佐伯幸雄氏は、「半導体および電子デバイス(EC)事業のディストリビューション部門が、半導体供給の逼迫(ひっぱく)改善に伴い好調に成長した。また、円安が20%ほど進んだことによる押上効果が大きかった」と説明した。なお、米ドル基準での売上高は、「ほぼ横ばいだ」(同氏)という。
産業機器や車載機器向けのEC事業が好調
分野別では、EC事業の売上高は、前年比546億4700万円増の2110億9400万円。経常利益は、同53億7500万円増の104億5900万円と増収増益だった。コンピュータシステム関連(CN)事業の売上高は、前年比57億9500万円増の292億5500万円。経常利益は、同2億1400万円減の20億1900万円だった。
EC事業は、産業機器向けでは、アナログICやプロセッサの受託開発が増加し、車載機器向けでは、アナログICやプロセッサ所要の増加、商権移管によるロジックICの増加がけん引した。CN事業は、ネットワーク関連製品のSIer(System Integrator)やデータセンター、クラウド事業者向けが好調だった他、セキュリティ関連製品のSIerやエンタープライズ向けが好調だった。減益の理由について佐伯氏は、「CN事業は、円建ての取引が多く、円安の影響を大きく受けた。また、人員増による販管費の増加が減益につながった」と説明した。
受注高について、佐伯氏は、「CN事業では、2023年度第1四半期(2022年4月〜6月)に大型案件があった他、通期を通して堅調に推移していた。EC事業では、2023年度第3四半期(2022年10月〜12月)以降は供給の改善傾向にあり、顧客からの一括受注が一段落し、発注タイミングが正常化した結果だと考えている」と説明した。
2024年3月期は、減収減益の予想
2024年3月期(2023年度)業績は、売上高が2300億円、経常利益が120億円、当期純利益が84億3800億円になると予想した。東京エレクトロン デバイス社長の徳重敦之氏は、2023年3月期比で減収減益を予想した理由について、「2023年度は、半導体市場が調整期に入り、分野ごとにバラツキがあるものの、市場全体ではマイナスになると予測している。また、半導体商権の拡大などは起きる一方で、半導体メーカーによる直販が増加すると予測していることも理由の一つだ」と説明した。
また、2025年度3月期(2024年度)の業績について同氏は、「半導体供給の逼迫が限定的になり、半導体市場が幅広い分野で回復する他、IT関連投資も堅調に伸びると予想している。結果、『VISION2025』(東京エレクトロン デバイスの中期経営計画)で掲げている2025年度の売上高2500億円を達成できる見込みだ」と語った。
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