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最新チップを徹底比較! 〜最新スマホから復刻版ゲーム機までこの10年で起こったこと、次の10年で起こること(73)(3/3 ページ)

2022年第4四半期から2023年第1四半期に発売された最新プロセッサのうち、スマートフォン向けチップや、復刻版ゲーム機などに搭載されているチップを比較してみたい。

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シャープ「X68000」の復刻版に搭載されているチップ

 図2は、2023年3月にリリースが始まったZUIKI(瑞起)の「X68000 Z」の外観とメイン基板である。X68000は1987年にシャープが発売したパーソナルワークステーションだ。X68000 Zは、同じ形状を小型化した復刻版製品である。付属されるマウスやキーボードはオリジナルと同サイズとなっている。


図2:2023年3月に配送が開始されたZUIKIの「X68000 Z」[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 内部にはZUIKIのプロセッサ「Z7213」が採用されている。プロセッサを冷却するためのヒートシンクにもZ7213の文字が刻印されていて、分解されることを前提とはしていないだろうが、見えないところにも手の込んだ演出が成されている!

 任天堂は2016年、ファミリーコンピュータの復刻版を発売した。それを皮切りに、セガやコナミなどからも昔のゲームの復刻モデルが発売された。その中から、X68000 Zも含め、ZUIKIのZ7213が採用された製品を表4にまとめている。これを見れば分かるように、ハードウェア的には、ほぼ同じだ。差はDRAMのサプライヤーが異なっている程度である。


表4:ZUIKIの「Z7213」を採用した、ゲーム機の復刻版モデル[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

復刻版ゲーム機に搭載されているチップを比較する

 図3左は、2016年発売の任天堂ファミリーコンピュータ復刻版で採用された中国Allwinnerのプロセッサ「R16」のチップ開封および配線層剥離、右はX68000 Zで採用されるZUIKI Z7213である。R16とZ7213には、わずかな差(Fuseなどで変更)はあるものと思われるが、ほぼ同一のシリコンである。


図3:Allwinnerの「R16」とZUIKIのZ7213[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 図4は、1987年のオリジナルのX68000に採用されたCPU「HD68HC000」と、2023年のX68000Zに採用されたZUIKI Z7213の比較である。半導体業界でキャリアを積んできた筆者にとって、オリジナルチップに関しては語り尽くせぬほどの思いもあるが、ここでは言及しない。復刻版で採用されたチップはあらゆる面で進化が進み、性能面に関しては全くの別物になっていると言ってよい。

 2023年も3分の1が経過した。これからも新しいチップが続々と発売されていく。今回のような比較報告は秋口あたりにもまた行いたい。


図4:Allwinnerの「R16」とZUIKIのZ7213[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年にわたる半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


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