2022年度は自動車がけん引して増収増益、ローム:民生、通信は苦戦も
ロームが2022年度決算および2023年度の業績予想を発表した。2022年度通期業績は、自動車向けや産業機器向けが成長したほか、為替の影響が大きく増収増益となった。2023年度は、増収減益を見込んでいる。
ロームは2023年5月9日、2022年度(2023年3月期)通期の決算を発表した。2022年度通期の売上高は、前年比12.3%増の5078億円。営業利益は、同29.2%増の923億円と増収増益だった。
同社社長の松本功氏は、増収増益の理由について、「自動車向けや産業機器向け製品が大きく成長したものの、為替の影響が非常に大きかった。為替影響を考慮しない場合の2022年度通期の売上高は、ほぼ横ばいで、利益は若干の減益だった」と説明した。
自動車や産業機器が2桁成長でけん引
用途別売上高では、自動車向けがxEV(電動車)分野を中心に成長し、前年比23.4%増の2130億円になった。産業機器向けは同12.9%増の898億円、コンピュータ&ストレージ向けは同14.9%増の708億円と、いずれも大きく成長した。一方で、民生向けは同0.8%減の1124億円、通信向けが同12.8%減の220億円と伸び悩んだ。
欧米、中国を中心に全体が増収
国籍別売上高では、欧米、中国を中心に各地域で自動車向け製品がけん引する形で成長した。米州は前年比24.6%増の621億円、欧州は同21.2%増の392億円、中国では同18.1%増の628億円になった。
LSIや半導体素子が好調
製品別売上高では、LSIが前年比14.6%増の2337億円、半導体素子が同12.8%増の2122億円と好調だった。一方で、モジュールは同3.6%減の343億円になった。
2023年度はLSI、SiCを中心に1600億円を投資
今後について松本氏は、「2023年度は、好調なLSIやSiC(炭化ケイ素)を中心に約1600億円の投資を行い、生産能力を向上させる。特に、SiCパワーデバイスの生産能力を、2030年までに2021年比で35倍に増強する」と説明した。
2023年度の通期業績は、売上高が前年比6.3%増の5400億円、営業利益が同18.8%減の750億円、純利益が同12.9%減の700億円と予想した。同氏は、「2023年度も自動車向け、特にパワー半導体関連製品や、産業機器向けが成長すると予想している。一方で、コンピュータ&ストレージ向けや民生、通信向けは厳しいだろう。また、2022年度は、円安が急激に進んだが、2023年は落ち着くと想定している」と説明した。
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