空飛ぶクルマ市場、2050年に180兆円超へ:「未来の乗り物」が当たり前に
矢野経済研究所が空飛ぶクルマ市場の現状と将来展望に関する調査結果を発表した。市場規模は2025年に608億円、2050年に180兆円超に成長するとみている。
2030年ごろまで加速的に成長
矢野経済研究所は2023年5月15日、空飛ぶクルマ市場の現状と将来展望に関する調査結果を発表した。
今回の調査は地域、国別や参入企業各社の動向、将来展望などを明らかにすることを目的としたものだ。調査対象は国内外の空飛ぶクルマメーカー、関連メーカー、業界団体、自治体などで、調査期間は2022年12月〜2023年3月。
本調査では2025年の空飛ぶクルマ市場世界規模を608億円と予測している。米Uber Technologies が事業構想を発表した空のライドシェアサービス「Uber Air」が2025年前後に世界的に事業開始予定とされており、今後約2年で本格的な機体の開発や専用離着陸場(バーティポート)といった周辺設備の設置検討、整備、調整が進む見込みだ。事業開始から2030年ごろまでは機体導入や飛行ルートなどのインフラ整備が急激に進み、世界中で加速的な成長が続くと矢野経済研究所は想定する。
2035年ごろには空飛ぶクルマの事業化の課題である「社会受容性」「機体開発」「地上インフラや管制システム」「法規制」が整備されていくことで、社会受容性や各国の経済発展も後押しした成長が期待される。2040年代には機体導入や新飛行ルート、バーティポートの設置がさらに進むことで引き続き安定した市場拡大を見込む。安定期と考えられる2050年ごろには、空飛ぶクルマ世界市場規模は180兆円を超える市場へ成長すると想定される。経済産業省の2020年工業統計調査によると、2019年の日本国内の自動車産業の自動車製造品出荷額等は約60兆円だった。このことからも空飛ぶクルマ市場の規模の大きさがうかがえる。
矢野経済研究所は2050年ごろの空飛ぶクルマ市場について、プレスリリースで「『未来の乗り物』と言われていた空飛ぶクルマが当たり前に飛行し、『空飛ぶクルマがいない』という今の風景が考えられないほど世界中で発展がみられる見通し」だとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 先端/注目半導体デバイス、2028年に55兆円台へ
先端/注目半導体デバイス(13品目)の世界市場は、2022年見込みの約40兆円に対し、2028年は55兆5373億円規模に達する見通しである。データセンター向けサーバや自動車関連の用途が需要をけん引する。富士キメラ総研が予測した。 - セルラーIoTモジュール世界市場、2022年は14%増
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは、2022年のセルラーIoTモジュール世界市場(出荷量)が、前年に比べ14%増加し、過去最高の数量になったと発表した。2023年は前年比19%の伸びを予測している。 - パワー半導体市場、2035年には13兆4302億円規模に
富士経済が2022年4月に発表した次世代パワー半導体とSiパワー半導体の世界市場の調査によると、パワー半導体市場は自動車/電装分野にけん引され、2035年には2022年比5.0倍の13兆4302億円規模に達するという。 - 2022年の半導体市場分析と2023年予測、ガートナー
米国の調査会社Gartnerの日本法人ガートナージャパンは2023年2月20日、記者説明会を実施し、同社シニアディレクターアナリストを務める山地正恒氏が、2022年の半導体市場の分析や2023年の見通しについて詳細を語った。 - シリコンウエハー、出荷面積・販売額とも過去最高
2022年の半導体用シリコンウエハー出荷面積は、2021年に比べ3.9%増の147億1300万平方インチ、販売額は9.5%増の138億米ドルになった。いずれも過去最高を更新した。 - 車載電装システム、2035年に82兆3921億円規模へ
車載電装システム市場は、2022年見込みの38兆4842億円に対し、2035年は82兆3921億円規模に達する。また、関連のデバイス&コンポーネンツ市場は2022年見込みの22兆866億円に対し、2035年は59兆976億円となる見通し。富士キメラ総研が予測した。