セルラーIoTモジュール世界市場、2022年は14%増:年間出荷量は過去最高に
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは、2022年のセルラーIoTモジュール世界市場(出荷量)が、前年に比べ14%増加し、過去最高の数量になったと発表した。2023年は前年比19%の伸びを予測している。
セルラーIoTチップセット市場、Qualcommが約40%のシェア
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ(以下、カウンターポイント)は2023年4月、2022年のセルラーIoTモジュール世界市場(出荷量)が、前年に比べ14%増加し、過去最高の数量になったと発表した。2023年は前年比19%の伸びを予測している。
カウンターポイントは、1500を超えるIoTモジュール製品やチップセット市場を四半期ごとに調査し、80以上のIoTモジュールベンダー、12以上のチップセットメーカー、18以上のIoTアプリケーション(自動車、スマートメーター、POSなど)について、その出荷数などをまとめたレポートを発表している。
同レポートでは、過去最高の数量を記録した要因として、「スマートメーター導入の再開」「小売りPOSアップグレードの継続」「アセットトラッキングの増加」「コネクテッドカーの増加」を挙げた。
2022年におけるセルラーIoTモジュール製品の出荷数を市場別にみると、最大市場の中国がリードし、北米と西欧がこれに続く。成長率でみればインドが高い伸びを示し、中南米と北米が続いている。中国市場における企業別シェアは、Quectelが首位でChina Mobile、Fibocomと続く。Quectelは自動車向けNAD(ネットワークアクセスデバイス)モジュールについて、大手自動車メーカーから複数受注に成功しているという。中国市場以外でも、Quectelは首位をキープしており、TelitとThalesが追いかける展開だ。
2022年のセルラーIoTチップセット市場におけるメーカー別出荷シェアは、Qualcommが約40%を確保している。LTE Cat4やその上位技術で強みを発揮するとともに、5G(第5世代移動通信)市場でも、支配的な地位を維持しているという。
Qualcommに続くのが、UNISOCとASRである。LTE Cat1.bisとCat1ベースのソリューションが好調に推移した。また、中国の新興メーカーであるEigencommとXinyi Semiconductorが、セルラーIoTチップセットのトップ5社に入った。EigencommはNB-IoTと4G Cat1.bisに、Ximyi SemiconductorはNB-IoTチップセットに、それぞれ注力しているという。
2022年における技術動向についても調査した。同レポートによれば、「NB-IoTが最も多く使われたLPWA IoT接続方式である。これに続くのが4G Cat1と4G Cat4モジュールである。これらを合わせて、IoT市場全体の60%を占めている」という。NB-IoTは中国での採用が大きく進んだものの、それ以外の市場ではそれほどでもなかった。これに対し、4G Cat.1bisは世界中で引き合いが増えた。一方、5Gはモジュールのコスト高などにより、IoT用途で普及する速度はスマートフォンほどではないとみている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ルネサスのクラウド開発キット、Azureに対応
ルネサス エレクトロニクスは、セルラーLTE Cat-M1対応のIoT開発プラットフォーム「クラウド開発キット」を、マイクロソフトのクラウドコンピューティングサービス「Microsoft Azure」に対応できるようにした。 - 2028年末に5G加入は50億件、FWAは3億接続へ
「エリクソンモビリティレポート」最新版によると、2028年末までに5G(第5世代移動通信)モバイル加入契約数は全世界で50億件を超え、固定無線アクセス(FWA)の接続数は3億件を超える見通しだ。 - Nordic、デュアルバンドWi-Fi 6チップを発表
Nordic Semiconductorは、消費電力が極めて少ないデュアルバンドWi-Fi 6チップ「nRF7002」を発表した。これにより同社は、「Bluetooth」と「セルラーIoT」に、今回の「Wi-Fi」を加え、3種類の「ワイヤレスIoTテクノロジー」を、1社でカバーすることが可能となった。 - Nestwaveが低電力GPSトラッカーを発表、薄く再利用も可能
Nestwaveは、バッテリー寿命が数年持続する、薄くて再利用可能なロジスティクストラッカー「ThinTrack」をSAMEA Innovationと共同開発している。同社が「CES 2022」(2022年1月5〜8日、米国ネバダ州ラスベガス)で発表したThinTrackは、Nestwaveのジオロケーション技術を使用して消費電力を削減し、バッテリー寿命を延ばしている。Nestwaveは、欧州連合(EU)の「Horizon 2020」プログラムの開発支援を受けている。 - 「6G」の議論が進む、テラヘルツ波の活用も視野に
Nokiaは毎年、米国ニューヨーク州ダウンタウンブルックリンのニューヨーク大学(NYU)Tandon School of Engineeringにおいて、学術カンファレンス「Brooklyn 6G Summit(B6GS)」を開催している。今回のイベントには、NokiaやMicrosoft、Qualcommなどをはじめ、さまざまな企業の経営幹部たちが参加している。 - 鉄道にもIoTを、新興企業が狙う新市場
世界の鉄道製造業界では現在、大手メーカーが優位性を確立している。しかし、さまざまな新興企業が、鉄道車両や走行レールに搭載可能なIoT(モノのインターネット)センサーや追跡メカニズムなどを提供することにより、鉄道事業に参入し始めている。