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低温で硬化するドライフィルム状の感光性絶縁材料:半導体パッケージの再配線層に使用
太陽インキ製造は「JPCA Show 2023」で、半導体パッケージの再配線層での使用に向けた感光性絶縁材料を展示した。低温で硬化するため硬化時の基板の反り返りを緩和できるほか、材料自体の表面が平滑であるため処理工程を減らすことができるという。
液状材料の課題を克服へ
太陽インキ製造は2023年5月31日〜6月2日に開催された「JPCA Show 2023」で、半導体パッケージの再配線層(RDL)での使用に向けた感光性絶縁材料「低ロス感光性層間絶縁フィルム」を展示した。同材料はウエハーレベルパッケージやパネルレベルパッケージの再配線層に使用するもの。
再配線層には一般的に、液状の材料である感光性ポリイミドが使われている。同社説明担当者によると感光性ポリイミドには「硬化温度が約250℃と高いため基板が熱で反り返ってしまうほか、液状であるため塗布した表面が平滑になりにくく、微細な配線パターンを形成するためには研磨しなくてはいけない」という課題があった。
今回太陽インキ製造が展示した低ロス感光性層間絶縁フィルムは、真空ラミネーターで基板に貼り付けて使用するドライフィルム状の材料だ。「約180℃と比較的低い温度で硬化作業ができるため基板の反り返りを緩和できるほか、材料自体の表面が平滑であるため処理工程を減らすことができる」(同社説明担当者)という。
同社は現在、低ロス感光性層間絶縁フィルムのサンプル提供を行っている。
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