日本の半導体復活の鍵は「TSMCやRapidusだけじゃない」:経産省 荻野氏が力説(3/3 ページ)
経済産業省 商務情報政策局 デバイス・半導体戦略室 室長の荻野洋平氏は、「電子機器トータルソリューション展」のセミナーに登壇し、日本の半導体戦略について語った。政府が、TSMCやRapidusなどの前工程だけでなく、「後工程」や「光電融合技術」も重視していることを強調した。
日本では、半導体および部素材/原料/製造装置等の関連サプライチェーン強靭化支援として3686億円、先端半導体の生産基盤設備に4500億円、次世代半導体の研究開発に4850億円と、約1兆3000億円の投資を発表している。
また、2022年5月には、米国と「半導体協力基本原則」に合意した。日米間の半導体製造における研究開発の協力強化や人材開発の促進、半導体不足に対する緊急対応の協調などに関するもので、半導体サプライチェーンの安定化を狙っている。また、2023年5月には、岸田文雄首相がG7広島サミットに合わせて半導体大手7社(TSMC、Intel、Micron Technology、Samsung Electronics、Applied Materials、IBM、imec)のトップらと会合を行うなど、海外企業との連携も強化している。
日本の半導体産業復活には「人材確保」が必須
半導体産業では、半導体製造装置製造業を除き、半導体素子製造業、集積回路製造業などの就業人数が年々減少傾向にある。全体では、1999年から2019年までの20年間で30%従業員数が減少するなど、広い分野で人手が不足している。
JEITA(電子情報技術産業協会)は「半導体業界の未来のためには若手人材の採用が急務だ」とし、キオクシア、マイクロン メモリ ジャパン、三菱電機、ヌヴォトン テクノロジージャパン、ルネサス エレクトロニクス、ソニー、東芝、ロームの主要8社で、10年間で4万人の半導体人材が必要だと説明している。
荻野氏は「日本の半導体復活のためには、半導体人材の確保/育成が必要不可欠だ」と強調した。現在は、各企業や団体から必要な人材のニーズを聞いて、施策を検討しているという。
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