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最短15分で成膜、酸化物半導体の湿式成膜技術ZnOやCu2Oなど

大阪産業技術研究所は、次世代通信技術に関する展示会「COMNEXT 2023」(2023年6月28〜30日/東京ビッグサイト)に出展し、酸化物半導体の湿式成膜技術を展示した。従来の成膜方法に比べ安価かつ簡単に成膜可能だ。

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 大阪産業技術研究所(以下、ORIST)は、次世代通信技術に関する展示会「COMNEXT 2023」(2023年6月28〜30日/東京ビッグサイト)に出展し、酸化物半導体の湿式成膜技術を展示した。既存のメッキ法やCVD(化学気相成長)法と比較して、安価かつ簡単に成膜できるという。

 同技術は、水溶液中の化学反応を利用して金属酸化物を基板上に成膜するもの。水溶液プロセスには、電解析出/化学析出/水熱析出の3種類があり、成膜したい酸化物半導体の種類などにより使用する析出方法が異なる。成膜可能な酸化物半導体は、ZnO(酸化亜鉛)やCu2O(酸化銅)、NiO(酸化ニッケル)などがある。成膜にかかる時間は、成膜の範囲や材料にもよるものの、ZnOなどは15分程度で完了する場合もあるという。

湿式成膜技術の活用
湿式成膜技術の活用[クリックで拡大]

 会場では、湿式成膜技術を使った成膜事例も展示された。酸化物太陽電池向けでは、水溶液電解析出(熱処理不要)による、Cu2O/ZnO酸化物太陽電池の成膜などの例を展示していた。また、電磁波シールド向けでは、水溶液化学析出法により、ガラス基板上にZnフェライトを主成分とする電磁波シールドの形成にも成功している。

湿式成膜技術を使った成膜事例
湿式成膜技術を使った成膜事例[クリックで拡大]

 ORIST 電子材料研究部 表面工学研究所 主任研究員の品川勉氏は、「ZnOの湿式成膜は、20年ほど前から研究していて、既に一部の製品でも活用されている。しかし、メッキ事業者やデバイスメーカーは、既に自社が強みとする成膜技術を持っていることもあり、湿式成膜技術の導入には、なかなかつながらないのが実情だ。今後も研究を続け、成膜プロセスの改善や、成膜可能な化合物半導体の種類を増やしつつ、普及活動を続けていく」とコメントした。

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