“真の”新生インフィニオンがIoT事業戦略を提示:「強みの掛け算をする体制が整った」
インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは2023年7月6日、「Cypress Semiconductor買収から約3年が経過し、それぞれの強みを掛け合わせた製品を提供する準備が整った」として、今後のマイコン/IoT事業の事業戦略を説明した。
Infineon Technologiesの日本法人であるインフィニオン テクノロジーズ ジャパン(以下、インフィニオン)は2023年7月6日、同社が主催する産業/民生向けIoT(モノのインターネット)ソリューションに関するセミナーイベント「Infineon MCU Partner & Solution Day 2023」の開催に合わせて、メディア ブリーフィングを開催した。
ブリーフィングでは、同社のバイスプレジデント CSS事業本部 事業本部長の針田靖久氏と、同じくCSS事業本部 IoTインダストリアル部 部長の細田秀樹氏が、産業/民生品向けマイコン事業やIoT事業の事業戦略を説明した。針田氏は冒頭、「IoTデバイスの数は、2021年が55億個だったのに対し、2026年には91億個に増加する予測で、年間平均成長率(個数)は11%に上る。インフィニオンは、IoT分野がeモビリティと並ぶ成長分野だと認識し、今後も注力していく」と語った。
CSS事業部は、IoTをターゲットとした事業部だ。主要製品は、マイコン/ワイヤレス/セキュリティ関連で、ソフトウェア技術も担当している。
“真の”新生インフィニオン、2024年には「XMC」「PSoC」の新製品が登場
Infineon Technologies(以下、Infineon)は、2020年4月に約90億ユーロ(当時のレートで約1兆1000億円)でCypress Semiconductor(以下、Cypress)を買収。両社は、製品の重複が極めて少なく、自動車領域やIoTにおけるエッジ端末領域を中心に“補完関係”にあり、Infineonにとって、Cypressは相乗効果を発揮しやすい相手だと分析されていた。また、Cypressの車載半導体事業部門は、旧富士通半導体事業部門(マイコン製品事業や電源IC事業など)が母体になっていて、日本市場に強みを持っていた。
細田氏は「Cypress買収から約3年が経過し、それぞれの強みを掛け合わせた製品を提供する準備が整った」と述べ、「今までは、(買収/統合前に)それぞれの企業が持っていた事業を単に引き継いだサービスがメインだった。今後は、新生インフィニオンとして、Infineon/Cypress/富士通の強みを掛け合わせたサービスも提供していく」と語った。また、“強み”の具体例として同氏は、Infineonからはペリフェラル/CORDIC/リアルタイム処理技術を、Cypressからはローパワー/微細技術/セキュリティ技術を紹介した。
同社は、“真”の新生インフィニオンの手始めとして、2024年初頭に同社のIoT機器向けマイコン「XMC」や「PSoC」の新製品「XMC Next “XXX”」「PSoC Next “XXX”」などを発表すると予告した。ただし、製品名や詳細なスペックに関しては、言及を避けた。
Cypressとの統合により製品群が増えたマイコンの開発環境については、「ModusToolbox」という統合開発環境に集約。ソフト面でも顧客の開発を支援するという。細田氏は、「昨今は、アプリケーションまで考えたサービス展開や、ハードウェアの提供にとどまらないソリューションベースの提案への要求が強くなっている。今後は、ハードウェアだけでなくソフトウェア/開発環境に関するサービスも含めて提供する。サポート内容は、パートナー企業と協議した上で決定するが、インフィニオンの製品を使ってもらうからには、提供して終わりではなく、最大限活用できるように責任を持って支援するつもりだ」とコメントした。
また、2023年5月に着工し、2026年秋から稼働予定のドイツ・ドレスデンの300mmウエハー新工場では、旧Cypressで設計したPSoCも製造する計画で、製造面での統合も強化していくという。
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