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欧州半導体法が成立へ、EU理事会が最終承認:官民合わせ430億ユーロの投資
EU理事会は2023年7月25日、官民合わせ430億ユーロの投資を行い、EUの半導体生産における世界市場シェアを2030年までに20%に増加することを目標す欧州半導体法を承認した。欧州議会議長および理事会議長の署名後、EU官報に掲載され、掲載後3日目に発効する。
EU理事会は2023年7月25日(現地時間)、欧州の半導体エコシステム強化に向けた欧州半導体法(European Chips Act)を承認した。欧州議会議長および理事会議長の署名後、EU官報に掲載され、掲載後3日目に発効する。
欧州半導体法案は、2022年2月に欧州委員会(EC)が提案したもので、半導体の域内生産拡大や研究開発強化を図る「欧州半導体イニシアチブ(Chips for Europe Initiative)」設置のほか、安定供給確保のための新たな支援枠組み設定、半導体サプライチェーンの監視と危機対応の3本柱で構成。現在10%程度であるEUの半導体生産における世界市場シェアを、2030年までに20%に倍増することを目指す。欧州半導体イニシアチブにおいては、官民合わせて430億ユーロ(うちEU自体の投資額は33億ユーロ)を投じる計画だ。
2023年4月、同法案について、EU理事会と欧州議会が暫定的な政治合意に達したことが発表された。同7月11日には欧州議会で587票対10票(棄権38票)で採択されていて、今回のEU理事会による承認が最終ステップとなっていた。同法は欧州議会議長および理事会議長の署名後、EU官報に掲載され、掲載後3日目に発効する。
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