Bosch、マレーシアに半導体テストセンター新設:3億5000万ユーロ投資へ
Robert Boschが、6500万ユーロを投じ、マレーシアのペナンに半導体テストセンターを新設した。同社は、今後10年半ばまでに、同拠点にさらに2億8500万ユーロを投じる予定だ。
Robert Bosch(以下、Bosch)は2023年8月1日(ドイツ時間)、6500万ユーロを投じ、マレーシアのペナンに半導体テストセンターを開設したと発表した。今後10年半ばまでに、同拠点にさらに2億8500万ユーロを投じる予定だ。同社は「半導体テストセンターの新設によって、半導体チップとセンサーに対する継続的な高い需要に対応するため、当社の世界的な製造ネットワークにさらなる生産能力を追加する」と述べている。
東南アジア最大の拠点に
Boschはマレーシアのペナン本島に合計10万m2の用地を確保している。今回新設したテストセンターの敷地面積は現在1万8000m2以上で、クリーンルームやオフィススペースおよび研究開発ラボを備えている。同センターでは最大400人の従業員が勤務する予定で、既存の拠点と合わせ、ペナンはBoschにとって東南アジア最大の拠点となるという。
Boschによると、マレーシアは世界の半導体サプライチェーンにおける重要なハブとなっていて、世界の後工程生産能力の約13%をカバーしていることが推定されるという。同社は「ペナンの新テストセンターは、当社の製造ネットワークを、重要なアジア市場で半導体製造のバリューチェーンに貢献する企業や顧客に近づけるものだ。これによって製品の納期とルートが短縮され、Boschの競争力が向上するだろう」と述べている。
生産能力拡大に向け、巨額投資を続けるBosch
Boschは、ドイツのロイトリンゲンおよびドレスデンに前工程工場を有していて、この2拠点の能力拡大などのため、今後3年間で約30億ユーロを投資する計画を発表するなど、半導体事業の拡大を進めている。2023年4月には、米国のファウンドリー(半導体受託製造企業)であるTSI Semiconductors(以下、TSI)を買収するとも発表。今後数年で約14億ユーロを投資じ、TSIの工場を200mmウエハー対応のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体工場に転換、2026年に生産を始める計画だ。
半導体後工程については、最終テストのほとんどをロイトリンゲンおよび中国の蘇州市、ハンガリーのハトヴァン拠点で実施していたが、ここに今回の新センターが加わる形になる。同社は「新テストセンターは、特にドレスデンの半導体を対象に、Boschの自社内プロセスチェーンを強化するものだ」とコメントしている。なお、同センターはマレーシア投資開発庁から資金援助を受けている。
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