ソニー、1.3型4K OLEDマイクロディスプレイを発表:リアルな空間再現で没入感を高める
ソニーセミコンダクタソリューションズは、1.3型4K OLEDマイクロディスプレイ「ECX344A」を発表した。VR(仮想現実)/AR(拡張現実)用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの用途に向ける。
独自の画素構造を採用、高色域と高輝度を両立
ソニーセミコンダクタソリューションズは2023年8月、1.3型4K OLEDマイクロディスプレイ「ECX344A」を発表した。VR(仮想現実)/AR(拡張現実)用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの用途に向ける。
ECX344Aは、トランジスタのレイアウトやプロセスを最適化し、独自のばらつき補正回路を採用した。これにより、4K(3552×3840画素)の解像度でありながら、均一な輝度特性を実現した。また、高速駆動用ドライバー回路を開発し、最大毎秒90フレームという高フレームレートにより滑らかな映像を実現した。
さらに、独自の画素構造によって、DCI-P3を96%カバーした広色域と高輝度を両立させた。これにより、リアルな空間を再現し高い没入感が得られるという。明るさと残像間の低減も両立させた。高フレームレートに加え、画素の発光時間を従来製品に比べ5分の1(Duty 20%駆動)と短くした。独自技術によって、Duty 20%駆動時でも最大輝度は1000cd/cm2を達成している。
この他、応用製品の負荷を軽減するため、用途に応じて選べる3種類の表示モードを用意した。4K解像度の入力データをそのまま表示する「Nomal mode」、2K〜2.5K解像度の入力データを4Kにアップスケールをして表示する「Upscale mode」および、視野の中心は高解像度で、視野の外側に向かうほど解像度を落とし描写することで、転送データ量を約60%削減できる「Foveated scan mode」である。
ECX344Aは、2023年11月からサンプル出荷を始める予定。サンプル価格(税別)は15万円。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ソニー、イメージセンサー事業の通期予測を下方修正
ソニーグループのイメージング&センシングソリューション分野の2023年度第1四半期業績は、売上高が前年同期比23%増の2927億円、営業利益は同41%減の127億円だった。同社は同分野の通期見通しを下方修正した。 - 首位ソニーが3年ぶりシェア拡大、2022年CIS市場
フランスの市場調査会社Yole Groupによると、2022年のCMOSイメージセンサー市場は212億9000万米ドルと前年からほぼ横ばいに推移した。ランキング首位のソニーは3年ぶりにシェアを拡大し、Samsung Electronicsら後続との差を広げたという。 - 低消費電力で高精度のGNSSアドオンボードを発売
ソニーセミコンダクタソリューションズは、IoT機器に向けたスマートセンシングプロセッサ搭載ボード「SPRESENSE(スプレッセンス)」用として、デュアルバンド測位に対応した低消費電力で高精度のGNSSアドオンボード「CXD5602PWBGNSS1W」を発売した。 - ソニーのイメージセンサー事業、今後の展望と成長戦略
ソニーセミコンダクタソリューションズのCEO(最高経営責任者)である清水照士氏が、同社事業の現状や今後の展望、成長戦略などについて語った。 - ソニー、半導体など「これまでと次元が違う投資が必要」
ソニーグループ社長の十時裕樹氏は、2023年5月18日に開催した2023年度経営方針説明会で、半導体およびエンターテインメント分野などを中心に、グローバルの競合に対抗するため、「これまでと次元が違う投資が必要になる」と言及した。 - 23年度も大幅増収見込むソニー、2層トランジスタ画素積層型CISがiPhoneに?
ソニーのイメージセンサー事業は、22年度大幅な増収増益に。さらに、23年度も大幅な増収となる見通しを発表しました。